Kalapana カラパナ / Kalapana

Hi-Fi-Record2010-06-02

レコメシ番外編 その2


 買付に車は付きもの。それはハワイでも同じことだ。


 レコード店のみならず、コレクター諸氏の自宅を訪問する際にも、住所頼りに車を走らせる。ワイキキを離れれば、駐車禁止を気にする必要もまず無い。オアフ島ですら、人ごみでごった返しているのは、ワイキキの一画だけ。ちょっと街を離れれば、迫り来る山並みに真っ青な青空、そして彼方に広がる海と、ハワイの手つかずの自然を感じながらドライヴすることになる。それは気持ちいい。


 オアフ島の北側、ちょうどワイキキの北に位置する街、カイルア。最近ではホノルルに通勤するビジネス・マンたちのベッドタウンだと聞いた。
 車が混んでいる時間を外しされすれば、島の南側からほんの30〜40分でたどり着く。地元の人たち向きに品揃えしたデパートなど大型ショッピング・センターが複数あり、彼らの暮らしぶりの一端が伺えるのが、なんだか楽しい。のんびりと静かな街だ。


 ちょっと裏通りに入ったところにあるカフェにも、もちろん地元の人たちしかいない。
 何と言うことはないサンドイッチがおいしい、ごくごく普通のカフェ。奇をてらったメニューがある訳ではない。テーブルとテーブルの間が広々とってある。クーラーは無い。かすかに海の匂いのする風が、吹込んでくる。
 カイルアの街で、唯一、インターネットが出来る場所となったと聴いたのは、これまた数年前。店の片隅に無線ネット用の機器が置かれたのだそうだ。

 
 店の名前は忘れてしまった。
 でももう一度、カイルアの街に行ったとしたら、たぶんたどり着くことが出来る。あの店の角をまがって、あの背の低い建物の裏側にある駐車場にクルマを停めて、少し奥に向って歩いたら、ある。


 ハワイで体験したことがらは、どうしてか物語りの一場面のようにして記憶することになる。時間が経つうちに、リアリティが失われ、どこか夢物語のようになってしまう。


 カラパナの音楽、ことにファースト・アルバムにマッキー・フェアリーが刻み込んだ作品は、そうしたボクのハワイの体験と、とても近い場所で響いている音楽だ。
 木々の緑がキラキラと陽光に輝く季節に、似合っている。多分、こうして日本で聴くのがいいのだろう。(大江田信) 


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