Freddy Morgan フレディ・モーガン / Mr. Banjo
楽器と演奏家の顔に相関関係はあるのかと問われたら、「あります」と答え、右手でこのアルバムを高らかに掲げたいと思う。
このバンジョーという楽器。全く悲しそうな音色がしなくて、明快で実にわかりやすくて、サーカスのピエロの踊りの時に用いられそうで、哲学や形而上学の香りすらしなくて、ピザ・ハウスのシェーキーズで週末になると演奏されていて。
これは4弦のバンジョーの場合のイメージ。
4弦バンジョーはジャズ。
5弦バンジョーはブルーグラスやフォーク。
弦の数が一本違うだけで、随分と用いられる音楽の様子が変わってしまう。
ただし同じ点もある。
巧い人が演奏すると、こんなにすごいことが出来る楽器だったのかと驚かされることになるのだ。
フレディ・モーガンのバンジョーが素敵なのは、どこまでも明るい音色なのに、どことなく悲しくて切ない気持ちになっちゃうことだ。ちょっとしたワン・コーラスのアドリヴを聴きながら、その超絶の巧さにびっくりしちゃう「Yes, That's My Baby」ですら、なんだかちょっと悲しい。
そういえば今日は、昨日よりもほんの少し空気が乾いて来ている気がする。
暑さは昨日と変わらないけれども、ほんの数センチほど秋に近付いている気がするのだ。
こんな日のフレディ・モーガンは、とってもいい。
もう少し涼しくなってからのほうが、もっといいかもしれない。
「世界は日の出を待っている」を聴きながら、一点の曇りもない青空を見上げて、さて、飲み物は何がいいかな。(大江田信)
試聴はこちらから。