2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧
店頭のレコードを整理しながら、思わず手に取ったレコード。 こちらをじっと見つめる目に惹かれてしまって。 コメントを読むと、「シンガー兼バンド・リーダーでもあるスキネイ・エニスというひと。なんてイイ声してるんでしょう」とある。そして「ビッグバ…
The Cool School 115 日本の穴場 「日本盤のきれいなジャズ・レコードを 仕入れてくれてありがとうな」 カウンターで老人客が 店の人間にそう語っているのを耳にした。 ウェストコーストの瀟洒な街にあるレコード屋での話。 日本のジャズ・ファンは 何かとオ…
昨年秋からN響の首席客演指揮者に就任したことを機に、NHKでアンドレ・プレヴィンのロング・インタービューやかつての指揮映像をまとめた番組が放送されていて、思わず見入ってしまった。 御歳80歳にならんとするにもかかわらず、しっかりとした口調で自身の…
先日、久しぶりに一人で蕎麦屋に入った。 午後の3時過ぎ、赤坂の駅に向かう道すがらの蕎麦屋が休憩を取っていた。午後の時間を休まず営業する神田連雀町のまつやを、池波正太郎さんが好んでいた事を思ったら、ふと裏道の蕎麦屋を思い出した。 随分と久しぶり…
クリフ・エドワーズ、愛称ウクレレ・アイクは、ディズニー映画「ピノキオ」のジミー・クリケット役で知られていることもあり、ディズニーの音楽レーベル、ヴエナ・ヴィスタからもソロアルバムが発表されているシンガーでミュージシャンだ。 ウクレレを片手に…
The Cool School 114 Right Place, Right Time ダメな店の話を 今までもいくつかしてきた。 アメリカのレコード屋に行けば どこでも必ず何かしら買うものがある……とは 残念ながら言い切れなくて、 むなしく店を後にすることだって決して少なくないのだ。 た…
The Cool School 113 レコード定食 ハイファイでぼくが買付に行き始めて まだ間もないころ、 買付用の資料ノートに記されたレコード屋リストの中に 妙な名前を見つけた。 ノートには 毎回そのとき訪問する予定の都市にある レコード屋の名前と住所、 そして…
ついこの間、「バックシャン」についてお話しました。 で、タイムリーな話題が 意味が分からない昭和語ランキング 30位以内に「バックシャン」入らず! ま、いいんですけど、ちょっとばかり勝手に盛り上がっていたので悲しい。 1位の「キモサベ」からして…
アルバムのB面冒頭に収められているのが「You Belong To Me」。 「You Belong To Me」は1950年代初頭に書かれたカントリー・ソングでオリジナルの歌唱はスー・トンプソンという。ほどなくカバーしたパティ・ペイジのヴァージョンがヒットして1952年の夏から…
The Cool School 112 あなたの知らないカントリーの世界 アメリカの平均的な中古レコード屋さんに行って 一番商品の数の多いジャンルは 何だと思われるだろう? ロック? ジャズ? それとも クラシック? 正確な統計ではなく ぼくの経験から見た判断だが、 …
アルバムの冒頭に収録されているのが「500マイル」。 この歌のことについては、一度書いたことがある。 これは惜別の歌なのだとして、「汽車に乗って離れて行く放浪の定めの『私』が、『あなた』への惜別を歌う。『私』が移動して、『あなた』ががとどまる。…
60年代シカゴのフォーク・シーンをとらえた写真本の紹介を得た。 お持ちの方にちょっと貸していただいた。 ペラペラとページをめくると、そのすべてが初めて見る写真だった事に、まず驚いた。フォークシーンを捉えた写真を見ていると必ずと言って良いほど、…
The Cool School 111 Drivin' Me Crazy 買付に行くときは だいたいこの街に行けば これぐらいの日程で 何枚ぐらいは買えるだろうと目星をつけてゆく。 だが、 不幸にも当てがはずれてしまうときもある。 まいった、不作だ、日にちが余った。 ある年の秋深い…
3日ほど前の松永さんの文にあった アメリカ国内の飛行機移動に関しての、手荷物をX線でスキャンするスクリーニング。 僕もシカゴ空港で「んだコレ? 見せろや!」と呼び止められました。 僕のでかいリュックの中は、買い付けた7inchでいっぱいだったのです…
The Cool School 110 オブスキュアの正体 初めて買付に出向いた店で 「おまえたちはどういうのを買うのだ?」と訊かれて 答える文句はだいたい決まっていた。 「オブスキュア(よくわからないもの)なレコード」 だが、 よく考えてみれば それはあくまで結果…
「あしたはきっと」。明日の朝の一番列車で可愛いあの娘の住む町に帰ろう、と歌う。ぼくが初めて聴いたのは、高田渡のアルバム「系図」に修められていたヴァージョンだ。 この歌を作ったのは、シンガーソングライターのいとうたかお。このアルバムの張本人だ…
The Cool School 109 What's this? 9.11以降、 アメリカに出入国する外国人に対する 検問が厳しくなったことはご存じだろう。 入国する際の質問も ずいぶんとねちねちとシビアな時期があった。 オバマ政権になって以来、 気のせいか その質問攻めが少し和ら…
B面の4曲目なんて場所にそっと収められた「Best Thing To Do」。NYのフュージョン系のミュージシャンがバックアップして出来上がったアルバムの一角に、こんなにスマートで知的で可愛らしい6/8拍子のフォーキー・ジャズ・ワルツ・チューンが隠れているなんて…
The Cool School 108 神様とネット・オークション 西海岸に住む 太っちょの愛すべきレコード店主エリック。 彼のことは今まで何度か書いているが 今日の主役は彼じゃない。 書きたいのは エリックと食事をしているときに 彼がしゃべったふとしたこと。 「知…
お詫び 昨日のブログにて 「彼女(向田邦子)の娘から…」と書きましたが、向田邦子さんにはご子息がおられないということでした。 大江田さんよりご指摘いただきました。大変失礼申し上げました。 ここのところ、書いたのはいいものの、なんとなしに推敲しな…
昨日、大江田さん書かれた文中に登場した爆笑問題の太田光さん。 映画進出、というニュースがタイミングよくあった。 そして、彼の向田邦子好きは有名で彼女の娘さんから遺品を進呈された、とのこと。 映画、どうなるんでしょうね。日芸出身だし、初監督では…
昨日の続き。 昨日のブログで中野翠さんのコラムから引いた。 「久世さんは好きな対象の前に自分をそっくり投げ出すことができる人だった。久世さんに較べると私は批評的、と言えば聞こえはいいが、どこか自分への執着を捨て切れない、小ざかしい人間なのだ…
コラムニストの中野翠さんが、親交が深かった久世光彦氏について書いている文章に、こんな一節がある。引用させてもらいたい。 「久世さんは好きな対象の前に自分をそっくり投げ出すことができる人だった。久世さんに較べると私は批評的、と言えば聞こえはい…
The Cool School 107 波乗りとビジネス 「この店の中にあるレコードはな、 どれも1ドルだ」 そう言われて ぼくたちは口をあんぐりとした。 1階を棚から床の上までくまなく箱が埋め尽くしている上に ロフト風の2階にもレコードがひしめいている。 これは夢じ…
pierを辞書で引くと、波止場とか桟橋、遊歩棧橋とかといった訳語が示される。 大きな貨物船が泊まる大規模な桟橋にpierという言葉が使われるのかどうか、その場合はむしろwharfが当てられるのかどうか、はっきりとした確信はない。ただし木組みの桟橋、それ…
寂しい歌は、寂しい気持ちのためのもの、と思って来た。 心寂しい時には、晴れやかな歌など響いてこないどころか、目をそむけたくなるものと思って来た。 寂しい歌は、心寂しい者のためのもの。 それが、どうもこの調子で片付かないのが、この人の歌だ。 ド…
目を覚ますと、背中と肩が酷くこっていました。 昨晩、パソコンの画面に向かったまま、眠ってしまったのであります。 今年はやめようと決意した朝のブログ更新、早速一発目から打ち砕かれました。 初夢はいかがでしたでしょうか? 当方はもうすっかり忘れて…
The Cool School 106 デッドヘッズ残影 ドアを開けて中に入ると ぷ〜んと香ってくる瞑想的な香り。 お香だ。 レコードを扱っている限り、 “レコード屋”を名乗るのは自由だ。 だけどこの店、 なかなかレコードにたどり着かない。 その替わりにぼくたちを出迎…