Rod McKuen ロッド・マッケン / Seasons In The Sun

Hi-Fi-Record2010-01-06

 寂しい歌は、寂しい気持ちのためのもの、と思って来た。
 心寂しい時には、晴れやかな歌など響いてこないどころか、目をそむけたくなるものと思って来た。
 寂しい歌は、心寂しい者のためのもの。


 それが、どうもこの調子で片付かないのが、この人の歌だ。
 ドラマチックではない。押し付けがましく無い。声高に叫ぶ事が無い。難しいことをいう訳ではない、シンプルな言葉を歌う。抑揚が少ない。気取っている訳でもない。
 そして淋しい。おそらく彼の声の表情から来るものだろう。


 寂しいことが、なんだかロマンチックに映ったこともある。それはたぶん幸せな時代の無い物ねだり。周囲が豊かだったからなのだろうと思う。


 そんなことを考えながら、なんとなく繰り返しアルバムを引っくり返しては、聞いている。
 気持ちのいい寂しさを感じている。(大江田 信)



Hi-Fi Record Store