Noel Harrison ノエル・ハリソン / Santa Monica Pier

Hi-Fi-Record2010-01-07

 pierを辞書で引くと、波止場とか桟橋、遊歩棧橋とかといった訳語が示される。
 大きな貨物船が泊まる大規模な桟橋にpierという言葉が使われるのかどうか、その場合はむしろwharfが当てられるのかどうか、はっきりとした確信はない。ただし木組みの桟橋、それも海に向かって数本の桟橋が設けられている風景にふさわしい言葉は、pierだと感じている。訳語も「遊歩棧橋」が当っている気がする。



 それとも言うのもたぶん初めてpierを見たのが、イギリスのブライトンにおいてだったからかもしれない。ブライトンには、古くからのPierがあり、観光スポットになっている。
 英仏海峡に面した避寒地として知られ、イギリス有数の観光都市だと説明を受けたが、ぼくにはかつて栄華を誇ったものの、今や落ちぶれ始めた淋しげな街との印象だった。観光客もまばらな季節に訪ねたせいもあるのだろう。



 ぼくの記憶の中のpierの風景と違和感なく響き合うのがノエル・ハリソンの「Santa Monica Pier」であり、このジャケット写真だ。


 Pierを海に向かって歩くと、少しずつ海の中を歩き進んで行くような軽い錯覚に落ちいった。そしてこうして、ぼんやりと桟橋に設けられた柵に寄りかかって、海を見た。(大江田信)



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