2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

Duck Baker ダック・ベイカー / When You Wore A Tulip

ガットギターには、夕暮れの響きがある。フィンガリングにしても、カッティングで用いるにしても、リズムの切れ味を表現するのは得手ではない。明瞭な響きを残すスチール弦のギターと比べて、つつましさや、くぐもったニュアンスを表現するのに適している。…

Bob Crewe Generation, The / Music To Watch Girls By

アメリカから帰ってきて一週間経つというのに、まだ時差ボケが治らない。休日の午後にふと眠くなり、ちょっと休むつもりで横になると、目が覚めたのは夜の7時だった。ぼんやりとした頭で夕食を取り、またちょっと横になったら、こんどは朝の5時半に目が覚…

Ellis Larkins エリス・ラーキンス / The Soft Touch

ちょっと前のブログで、 猫ジャケのことを書こうとしたら猫のが無くて、 やむをえず犬ジャケを紹介したことがあった。 今回の買付ではそこんとこ何とかしなくちゃと 奮闘して猫ジャケを探してきた。 これはその釣果。 Deccaレコードの”Mood Jazz In Hi-Fi”シ…

Dan Hicks And His Hot Licks ダン・ヒックス / Striking It Rich

昨日、藤瀬選手が書いていた「デトロイト・メタル・シティ」をぼくも読んでいる。 最初のうちはタイトルを「デスメタル・ロック・シティ」と混同してしまっていた。 漫画のテーマには、こっちの方が合っている。 もちろんロック・ファンならこのタイトルが K…

Gary Glitter ゲイリー・グリッター / Gary Glitter

たまに「やられた!」と、思わず頭を垂れるときがある。 ヤングアニマルにて連載中の若杉公徳「デトロイト・メタル・シティ」第1巻。 すでにスタジオヴォイスなどで採り上げられているようですので、ご存じの方も多いかと。 しかもあのAmazonで全書籍ランキ…

Robert Kraft And The Ivory Coast ロバート・クラフト / Moodswing

ギタリストが自身の音楽性をジャケット写真で表現しようとすると、ギターの機種だとか、ギターの抱え方とか、髪型を含めた洋服のファッションとか、そうしたことを用いることになるのだろう。ライティング効果たっぷり、ハレーションいっぱいのステージ写真…

Duke Robillard デューク・ロビラード / Swing

お! タモリ! ではありませんで、東海岸のブルース&ジャイヴなギタリスト、 デューク・ロビラードの小粋なスイング・アルバムなのだった。 しかし、タモリに似ているだけあって、 このアルバムではこの若年寄なギタリストはジャズをやっている。 ブルース…

Peter Gallway ピーター・ゴールウェイ / Peter Gallway

奥付を見ると一九九六年十二月二四日第二刷発行とあるから、初めて手にしてからもう十年近くが経ったと言うことになる。小西康陽著「これは恋ではない」。 いまだにボクの生活圏の近くのどこかに置いて、ことあるごとに拾い読みをしている。 ついさっきもポ…

Bates And Hawkins ベイツ&ホーキンス / ragtime, blues and jive

速報! 夏の買付荷物の第2弾が到着しました。 これで今夏の買付レコードのすべてが、ハイファイに届きました。 どうぞ今後の店頭、インターネット・ショップに、ご注目下さい。 本日届いたレコードの1枚から。 このレコード、手に取ったときに、何だか変だ…

V.A. / The Best Of Louie Louie

ハイファイのお客さんだったアメリカ人の女の子が先週母国に帰った。 大学で「フランク・ザッパ学」(ゲゲ!)を専攻した彼女は、 日本の小学校で英語を教えるために3年間、埼玉県の学校に赴任した。 偶然立ち寄ったハイファイでマザーズの「ルーベン&ザ・…

Buddy Merrill バディ・メリル / The Exciting World Of

速報! 夏の買付からたった今帰ってきました! 今週から買付新着商品を毎日補充いたします! というわけで、買付後にいつも起こるレコード・デジャヴの話。 あ、どこかで見たことがある! レコードのジャケットを見ていると、そういう景色に出くわすことがと…

Peter Skellern ピーター・スケラーン / Skellern

押井守監督作品・Production I.G制作「イノセンス」を観ました。(「いまさら?」なんて言わないでください。) 疲れ眼にビシビシ痛い難解な漢字と逞しい引用(目が醒めました)。半端に電波な僕の脳みそを悲しいほど刺激する電脳ストーリー。 いや、ホント…

Caravelli カラベリ / By Request Featuring the hit ”WIGWAM”

主宰するオーケストラの公演ツアーでたびたび日本を訪れているムッシュ・カラベリ。オーケストラ・メンバーは、パリで仕事をしているジャズやポップ系ミュージシャンと、ベルギーからのストリングス・セクション。主要メンバーのほか、セッション的にツアー…

Chris Connor クリス・コナー / Sketches

「モア・トゥデイ・ザン・イエスタデイ」という曲、 いつ頃からこんなに人気があるのだろうか。 スパイラル・ステアケースというグループは、1960年代後半にデビュー。 パット・アップトンという伸びのある高音と天才的な作曲能力を 併せ持った男性シンガー…

Les Paul レス・ポール / New Sound, The

20世紀前半のアメリカ・ポピュラー音楽の主流は、ジャズ。そして中心楽器はピアノだった。そんな時代のこと。 なんとかギターを手に、ジャズのバンドに潜り込みたい、そしてソロを取りたいと願ったレス・ポールは、ギターの音を大きく増幅する装置をギターに…

Cranberry Lake クランベリー・レイク / Lowdown Symphony

ここ数年、アコースティック・スイングと称して親しまれるようになった音楽。 70年代以降にフォークやブルーグラスや、そしてアコースティックなサウンドのフォーキーなジャズバンドなどが、やや古めのジャズを演奏しているものをさして、こう言うようになっ…

The Ramsey Lewis Trio ラムゼイ・ルイス・トリオ / Hang On Ramsey!

サーカスを見に行ったのは、もう20数年も前のこと。 象が曲芸をやったり、 球体の中をバイクが走り回ったりしていた。 すでにその頃から、サーカスという興行は、 エンターティンメントとしては相当に場末の存在だったように記憶する。 三井グリーンランドに…

Lou Christie ルー・クリスティ / Enlightnin’ment : The Best Of

こないだ東京でドシャガシャと落雷が続いたと思ったら、 今日は大停電。 どうも、今年の夏は電撃に縁があるらしい。 雷鳴が雷様のドラム・ソロだとしたら、 今年の担当はキース・ムーンなのかもしれない。 雷鳴は、さまざまなかたちでときどきハートも直撃す…

Kip Hanrahan キップ・ハンラハン / Desire Develops An Edge

キップ・ハンラハンのことを想うと、僕は尊敬する友人・Mさんのことを思い出す。 「Deep Rumba」を率いての来日ライブ(確かブルー・ノートで)の一部終始を僕はMさんから聞き、おもしろくてしょうがなかった。 錚々たるNYラテン・コミュニティのミュージシ…

Ann Reed アン・リード / Carpediem

ボサノーヴァとフォークの見事な結晶が、収められているアルバム。 Ann Reedのこのアルバムの冒頭曲、こんなに素晴らしく二つが結実した例はそうはない。同じく女性フォークシンガーのPixie Lauerのアルバムの冒頭にも、ボサノーヴァとフォークの幸せな邂逅…

Frankie Carle フランキー・カール / 12 Double-barreled Hits Of ’

「ジャワの夜は更けて」。 ある本の中でコモエスタ八重樫さんが指摘しておられたが、 60年代には世界中で夜が更けた。 ヒット曲の中での話だが。 モスクワで、ワシントン広場で、赤坂で、ネバダで、ジャワで……。 世界中、どんな場所でも更けない夜はないわけ…

John Nazarenko ジョン・ナザレンコ / Nazjazz

ふと手に取ったレコードがとてもよかったものだから、アーチストの名前だけを手がかりに探してみたら、ご本人にたどり着くことができて。そして運良く彼の手元にあるレコードを買わせてもう。 そんな風にしてハイファイの店頭にたどり着いたアルバムやCDっ…

Billy Field ビリー・フィールド / Bad Habits

ちょっと耳にしただけなのに、なんとも忘れがたいメロディがある。なんとなく気になっているけれども、誰の何という歌なのかわからない。そして、それがわかった時には、むやみに嬉しくなってしまうという経験。 ロッキンな4ビートのスイングが気持ちよくて…

Vince Guaraldi / Eclectic

ヴィンス・ギャラルディというピアニストは、 スヌーピーのテレビ・シリーズのテーマ曲を作曲したことで知られている。 それ以前にも「キャスト・ユア・フェイト・トゥ・ザ・ウィンド」という ラブリーな名曲を書いていて、多くのミュージシャンがこの曲をカ…

Beach Boys / Surf’s Up

ブライアン・ウィルソンが元気に音楽活動を再開して数年。 迷宮入りの作品だった「スマイル」もめでたく作品として完結し、 ライヴをすれば、まさか生で聴けるとは思っていなかった名曲が演奏され、 ファンには至福のときが流れている。 その一方で、もう二…

V.A. / The Rhino Brothers’ Greatest Flops

釣り専門誌は勿論のこと、近年雑誌が多彩かつ専門誌が多くなってきたのはわかりますが、僕の世代の青春雑誌「ホットドックプレス」のような雑誌がないのはとても寂しい。あの雑誌は思春期の男子の悩みに見事に正面からぶつかってくれていた。さすが山田五郎…

Xavier Cugat / Feeling Good !

ザビア・クガートは、タバコが吸えなかった。 しかしラテン・ミュージックのキングのイメージを保持するために、葉巻をくわえてにこやかに笑っている写真を撮らせた。かつて恰幅よく太り葉巻をくわえている男ほど、人生の夢を果たした金満家と考えられていた…

Tony Bruno / The Beauty Of Bruno

アメリカの友人Aとした話。 A「最近、トニー・ブルーノ聴いててね」 松「へえ。いいよね。彼はグッドタイム・ミュージック界のトニー・ベネットだよね。アンダース&ポンシアが全面的に協力してる」 A「彼のファーストはキャピトルから『An Original By Br…

Terry Adams And Steve Ferguson / Louisville Sluggers

先週末に行われたテリー・アダムス&スティーヴ・ファーガソン・クインテット フィーチャリング・トム・アルドリーノ・ウィズ・ピート・トイゴのことを もう少し書きたい。 というか、スティーヴ・ファーガソンのことを書きたい。 スティーヴは来日早々から …

Bonnie Koloc / Wild And Recluse

歌を歌うときの歌い手の心理回路ってどうなっているんだろうって、ずっと昔から興味がある。 物語を描き出す映画監督、あるいはカメラマンのような立場から歌を紡ぎ出すのか、それとも歌の主人公としてその歌の世界で振る舞うのか。簡単に言ってしまうと、こ…