Frankie Carle フランキー・カール / 12 Double-barreled Hits Of ’

Hi-Fi-Record2006-08-11

「ジャワの夜は更けて」。


ある本の中でコモエスタ八重樫さんが指摘しておられたが、
60年代には世界中で夜が更けた。
ヒット曲の中での話だが。


モスクワで、ワシントン広場で、赤坂で、ネバダで、ジャワで……。
世界中、どんな場所でも更けない夜はないわけだから、にぎやかでよろしいが、
この中でジャワだけが明らかな誤訳である。


トランぺッター、アル・ハートのヒット曲として知られるこの軽快なナンバー。
これを書いたのはニューオリンズの生んだ天才、アラン・トゥーサン
若き日に発表したデビュー・アルバム「ワイルド・サウンド・オブ・ニューオリンズ」で
彼の自演版を聴くことができる。


実はこの曲は、彼が家の窓を開けたときに外から入ってきたあるものの香りをテーマにしている。
さて、それは何でしょう?
あらら、これじゃまるで「世界ふしぎ発見」。没シュートです。


正解は、コーヒー。
JAVA」とは、南国の地名「ジャワ」ではなく、コーヒーを示すスラング「ジャヴァ」のことだった。
古いスイング・チューン「ジャヴァ・ジャイヴ」の「ジャヴァ」と一緒である。


確かめたわけではないが、
いわゆる薄味のアメリカン・コーヒーではなく、
きちんとローストされ、抽出された本物のコーヒーを「ジャヴァ」と呼んでいるような気がする。
そういうものを飲むと、この曲みたいな楽しい気分になるに違いない。


そう言えば、昔、小学校の授業で習ったバッハの「コーヒー・カンタータ」では
「コーヒーを飲んだら楽しくて地球がまっさかさまになる」ような歌詞ではなかったか。
本当においしいコーヒーを飲んだら、
ジャワの夜は、とてもじゃないが更けてる場合じゃないね。


この曲のカヴァーはNRBQもやっているけれど、
今日はフランキー・カールにしよう。
軽くて渋い味がする。(松永)


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