Ann Reed アン・リード / Carpediem

Hi-Fi-Record2006-08-12

 ボサノーヴァとフォークの見事な結晶が、収められているアルバム。
 Ann Reedのこのアルバムの冒頭曲、こんなに素晴らしく二つが結実した例はそうはない。同じく女性フォークシンガーのPixie Lauerのアルバムの冒頭にも、ボサノーヴァとフォークの幸せな邂逅が収められていたけれども。


 ブラジル音楽のボサノーヴァが60年代にアメリカに広がり始めると、ジャズやポップやロックなど、さまざまなジャンルの音楽がボサノーヴァに呼応し始める。ともにアコースティック・ギターの響きを重んじる音楽だけに、フォークとボサノーヴァ、そのふたつがピッタリとはまった場合には、とても素晴らしい音楽が仕上がる。


 フォークは、アメリカの伝統的な音楽を引き継いているジャンルと思われている。それは間違いではないが、このAnn Reedの例もあるように、フォークが保守的な音楽と思っていると、実はそうでもない。


 こうしたAnn Reedの例など、絶妙に他ジャンルと交錯しているフォークには、とても魅力的な響きがたたえられている。
 そんなわけで、このところボサノーヴァも含め、ジャズなフォークを探している。真っ先に思いつくことに、グリニッジ・ヴィレッジのアーチストがレコーディングする際にバックアップをした多くはジャズ系ミュージシャンなのだから、実はこれは遠からず見つかるはずの目論見と思っているのだ。(大江田)


http://www.hi-fi.gr.jp