Kip Hanrahan キップ・ハンラハン / Desire Develops An Edge

Hi-Fi-Record2006-08-13

キップ・ハンラハンのことを想うと、僕は尊敬する友人・Mさんのことを思い出す。


「Deep Rumba」を率いての来日ライブ(確かブルー・ノートで)の一部終始を僕はMさんから聞き、おもしろくてしょうがなかった。
錚々たるNYラテン・コミュニティのミュージシャンらを舞台に並べ、彼はちょこんと観客席に座る。Mさんが「あれれ?」と思う間もなく演奏がスタート。そして曲の合間にボソボソ喋ったり、ミュージシャンらに、あーでもない、こーでもない、という批評&指導。そしてまた観客席にちょこんと座る。Mさんもよくよく考えたらキップ・ハンラハンは"ミュージック・ディレクター"という肩書きでもあることを思い出し、妙に納得。
けど皆と同じ観客席に座って、ライブを見てるキップ・ハンラハンて…。


いや、素敵なライブ話でした。話を聞いてキップ・ハンラハンのことがもっと好きになりました。Mさんの持ってるサインが羨ましくって。だって僕はそのとき小学生ぐらいだったので…。B'z聴いてましたから。今話題のT-BOLAN(国家斉唱の映像に絶句、You Tubeにまだあるかと)は聴いてませんでした。T-REXマーク・ボランも。あしからず。


NYラテン・ヒスパニック文化のメッカ、ブロンクス出身。最高にワルすぎる生い立ちと、伝説(ゴシップもいっぱい)を持つキップ・ハンラハン。彼の立ち上げたレーベル、アメリカン・クラーヴェのジャケットのほとんどに「金」や「銀」の色が施されている。さらに奇才-テオ・マセオと巨人-アストル・ピアソラを担ぎ上げたことや、「Deep Rumba」のメンバーが収監されたりと、より"ディープ"なレーベル・カラーとなっています。最近ではピアニスト・渡邊琢磨との仕事も格好良くって。


イスラエルレバノンのことをニュースで見ると、ジャン・リュック・ゴダール監督の「アワー・ミュージック」を思い出す。映画を観た時はリアリティが追いつかず、少し距離感を感じました。それでも見事 ”ゴダールに時間を奪われた” けれども。(←褒め言葉です。)
外国人追放・宗教抗争・民族浄化運動、「わかっちゃいるがやめられない!」心境が理解できない。政治や宗教に疎い僕ですが、先日アフリカでのアラブ人と非アラブ人の抗争を撮った某民放のドキュメントを見た際、大量の死体をダンプ・カーでゴミのようにまとめて穴に捨てるシーンに愕然。その生々しさたるや「放送コードって?」と思うほどで。情報も少し傾き気味。どこぞの誰かよからぬ人間が変な画策でもしてるのかなぁ。つるかめつるかめ…なんちゃって。


そういえば、まだ売れる前のキップ・ハンラハンが映画撮影中のJ.L.ゴダールに、撮影現場にて物申したという伝説があるとか、ないとか。二人ともなんだか似てますよね。このアルバムのタイトル「Desire Develops An Edge」な感じが。(藤瀬)


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