Gary Glitter ゲイリー・グリッター / Gary Glitter
たまに「やられた!」と、思わず頭を垂れるときがある。
ヤングアニマルにて連載中の若杉公徳「デトロイト・メタル・シティ」第1巻。
すでにスタジオヴォイスなどで採り上げられているようですので、ご存じの方も多いかと。
しかもあのAmazonで全書籍ランキング1位(!)を獲得とのこと。
ミュージシャンである主人公・根岸くんの大好きな音楽は「スウェディッシュ・ポップ」に「カヒミ・カリィ」、「フリッパーズ・ギター」。
でも、やってる音楽は鬼畜系デスメタル。
この設定で生まれうる逡巡と葛藤、苦悩の素晴らしいことは言うまでもないでしょう。
葛藤・苦悩といえば、このアルバム Gary Glitter「Gary Glitter」。
「もっと洒落たバンドがやりたかった…俺たちはインテリ系なのよ実際は…(バックバンド)」
「何はともあれやってやるんじゃい!(ゲイリー・グリッター)」。
バックバンドらはゲイリー・グリッターがフゴフゴ歌う後ろで、クスクス笑いながら演奏していたという。ヒット曲「Rock'n'roll Part 2」も、ヴォーカル入りの「Part 1」のほうはヒットしなかったというやりきれない歪んだバンド。
"苦悩"と"割りきり"という相対するような雰囲気がステージ上で同居する、なんとも迷妄で素敵なアルバムだ。
「時代に負かされるかにみえて負かされず、滅びるかにみえて滅びず、快楽と苦痛の底を軽やかに這いずり回り、のそのそと立ちあがってめしを食う、バサラ人間ってそういうやつか?」「バサラ人間は、とほうもなく大きい精神の胃袋を保有しており、根元的なものの強さは、静かに攻撃的であることだ」(長尾みのる著「バサラ人間」より)
根岸くんやゲイリー・グリッター&バックバンドは「バサラ人間」の境地なのかも…
{この展開からどう続けよう…オチなしは嫌だぁ…(苦悩)}
いや、この表現、褒め過ぎでした!
すいません! 長尾みのる先生!
とにかく本日とりあげた3作品、全部おもしろい繋がり! (割りきり・丸投げ) (藤瀬)