Skinnay Ennis And His Orchestra / Got A Date With An Angel

Hi-Fi-Record2010-01-31

 店頭のレコードを整理しながら、思わず手に取ったレコード。
 こちらをじっと見つめる目に惹かれてしまって。


 コメントを読むと、「シンガー兼バンド・リーダーでもあるスキネイ・エニスというひと。なんてイイ声してるんでしょう」とある。そして「ビッグバンド作品でちょっとだけ歌っているのは知ってたんですが、この人が全曲歌ってるのがあったらなあ、と思っていたら、ありました! まるで、もうひとりのピーター・ディーンかウクレレ・アイク」と続いている。


 もうひとりのピーター・ディーンかウクレレ・アイクだって、なんて期待出来るのだろう。しかも女性だなんて。女性でバンマス?そんな人がいたのか。しかもこんなに美人だなんて。あらあら、こりゃいかん、チェックし忘れていたのかな。

 
 針を落とすと男性の声が流れてくる。デュエット・ソングか、しばらくしたら女性の声が流れてくるのかなと思って聴き続けていても、ずっと男性の声。"全曲歌っている"のは、男性なのかと思い、今度はネットで確認してみたら、なんと「ちなみにジャケは女性ですが、スキネイ・エニスは男性です。念のため」とコメントの最後に添えられていた。



 今いちど確認すると、店頭のレコードに添えられているコメント・カードは途中で終っていた。ちょうど"ちなみに"以下の文章が、用紙をはみ出してしまって載っていなかった。
 まさか、ちょっとしたジョークでこんな風に印刷したのだろうかと、コメントを書いたスタッフの顔を思い出しつつ、いや、そんなことはあるまいと言下に否定した。もしもジョークだとしたら、僕はまんまとハマってしまったマヌケになるではないか。それは大変に口惜しい。
 ああっとため息をつきつつ、彼女は、タイトルにある「Angel」の実像という設定だったのだと、気づいた。



 いつの頃からレコードのジャケットには、こうしてモデル女性のピン・ナップを用いることが始まっただろう。それはどのような音楽の場合で、どういった聴衆を対象にした戦略だったのだろう。
 ああ、僕をサンプルにしてみれば、そのココロがわかるのだろうか。
 それにしても僕は、またしてもショートカットの女性のジャケットを手に取った。女性の髪の短さに、心を動かされたのだった。(大江田信)



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