Cliff Edwards クリフ・エドワーズ / Cliff Edwards ”Ukulele Ike
クリフ・エドワーズ、愛称ウクレレ・アイクは、ディズニー映画「ピノキオ」のジミー・クリケット役で知られていることもあり、ディズニーの音楽レーベル、ヴエナ・ヴィスタからもソロアルバムが発表されているシンガーでミュージシャンだ。
ウクレレを片手に、ジャジィなナンバーやノヴェルティ・ソング、そしてポピュラー・スタンダードを歌う。持ち歌は1929年に大ヒットした"Singin' In The Rain"。
彼のことが気になって相当のアルバムやコンピレーションを入手したことがある。このウクレレ弾き語りアルバムに惚れてのことで、他にも同様のアルバムがないものかとそれなりに探したのだ。
結果から言うと、ウクレレの弾き語りのアルバムは、他には無かった。オーケストラのバックが付いているものが多く、どうもウクレレの響きが聞こえるようにも思うものの、それにしても大きくフィーチャーされるわけでもない、そんな内容のものが多かった。
なんだ、結局のところ、ウクレレ・アイクと名乗った彼のウクレレをきちんとフィーチャーしたのは、このアルバムしかないんだというのが、廻り廻ってのボクの答えとなった。
小唄をウクレレで弾き語る。それも小粋に、愛おしそうに。両手にすっぽりと収まるような歌とサウンド。その小さな宇宙のようなまろやかな感じが、たまらない。
どうやらこのアルバムはラジオ放送で演奏された音源を、そのままレコードにまとめたもののようだ。この種のアルバムを、ラジオ・トランスクリプションという。
1940年代頃、SP期のダンスバンドやポップ・シンガーにに、トランスクリプション・アルバムをよく見かける。
権利関係がクリアーされているのかどうか、いまひとつ判然としない。もしもクリアーされているのならば、貴重な音源なのだから、どんどんどCD化されてもいいと思うが、どうもそうした様子は見当たらない。
というわけで、このアルバムも恐らく未CD化のままと思う。
そうなるとまた、余計に思いが募るのであった。(大江田 信)