いとうたかお / いとうたかおファースト・アルバム
「あしたはきっと」。明日の朝の一番列車で可愛いあの娘の住む町に帰ろう、と歌う。ぼくが初めて聴いたのは、高田渡のアルバム「系図」に修められていたヴァージョンだ。
この歌を作ったのは、シンガーソングライターのいとうたかお。このアルバムの張本人だ。彼の出世作となった作品でもある。もちろんこのファースト・アルバムに、収められている。
彼の人生のどのような場面で、どのようなプロセスを経て、どのようにしてこの歌が生まれたのか。
たぶん随分と昔のこと、ご本人に聞いたことがあるような気もする。でも、忘れてしまった。
本人に今から取材をしてもいいのかもしれない。周辺のスタッフに取材をするという手もあるのかもしれない。
そうすることでこの歌の何たるかが分かるのかもしれない。
でもそれはあまり必要のないことと思ってしまう。
シンプルでとても良い歌だ。歌詞に導かれるようにして、想いを抱いて、そしてメロディを楽しめば良い。
作家本人が歌を書いた時代の背景や、心情の背景に、必要以上の想いを寄せる必要は無いに違いないと思ってしまうのは、例えばこの歌が書かれた70年代の吉祥寺周辺の状況を、少なからずボクが知っているからなのだろうか。
このうたを聞くたびに、こうした自問を繰り返している。(大江田信)
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