Mary Travers マリー・トラバース / Mary

Hi-Fi-Record2007-10-18

 「悲しみのジェット・プレーン」は、作品に目を付けたマリー・トラバースが自身のグループ、ピーター、ポール&マリーで取り上げた。当初は1967年のアルバム「Album 1700」の一曲だった。リリースの数年後、1969年頃から大ヒットへと至った作品だ。
 
 グループの3人にジョン・デンバーを交えながら同曲を歌う当時のライヴ映像が残されていて、それを見ているとソロ・ボーカルを取るようジョンをマイクの前にそっと押し出すマリーの姿が映っている。
 ジョン・デンバーがその後に大きく育っていくきっかけとなったのが、「悲しみのジェット・プレーン」の大ヒットだったことは言うまでもないだろう。



 自らが見出した作品は、自らがソロ・ボーカルを取る。これがピーター、ポール&マリーでの習わしだ。
 早くからボブ・ディランの友人だったピーター・ヤーローは、「風に吹かれて」のリード・ボーカルを取っている。
 同時に自らが作詞作曲した歌は、作者がリード・ボーカルを取る。
 ピーター、ポール&マリーを追いかけているうちに、気付いたことの一つだった。もう数十年もまえのことだけれども。
 これは、おそらく他のバンドでも同様だろう。



 ピーター、ポール&マリーが解散してのち、ジャケットに「Peter」, 「Paul and」, 「Mary」とだけ書かれたアルバムを、それぞれソロ作品としてリリースした。文字も地色もそれぞれに微妙に色合いが違えてある。
 Maryのアルバムがこれ。
 もちろんここでもジョン・デンバーの作品が収録されているのだが、そこにマイケル・ジョンソンジョン・デンバー、そしてもう一人の名前が連名でクレジットされている作品があることに、今になって気付いた。
 これってチャド・ミッチェル・トリオの最後期にマイケル・ジョンソンが参加していた時期のものではないかと、胸が高鳴った。
 この時期のマイケル・ジョンソンの作品は、自身のサイトで若干の紹介が行われているものを除いて、ほとんど聴くことが出来ない。



 曲調はというと、後々のマイケル・ジョンソンの作風とは、全く違うものだった。
 チャド・ミッチェル・トリオ風のフォーク作品。
 彼はこういう場所に拠って立っていた一時期があるのだと、改めて気付かされた。
 具体的に思いを至らせる曲をこうして聴くのと、聴かないのとでは天と地ほどの差がある。
 なるほど。
 こんな風にしてマイケル・ジョンソンの知られざる作品と出会うなんて。(大江田信)
 


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