Frank Sinatra Jr. フランク・シナトラ・ジュニア / Spice

Hi-Fi-Record2008-08-12

父親と同じ名前をつけて
「ジュニア」とか「二世」とか。


欧米のひとたちの心理を
日本人が今ひとつつかめないと思う
そういう現象のひとつだと思ってしまいがちだが、
要するに父親の名前を一文字取って、とか、
そういうことにも通じているのだとは理解している。


あらかじめ父を超えられない存在を運命づけられたようでもあり、
やがて父が死んだあとで
「ジュニア」が取れるような存在になれという
叱咤激励のようでもある。


カート・ヴォネガット・ジュニア
サミー・デイヴィス・ジュニア、
ドリー・ファンク・ジュニア、
ぼくにも好きな「ジュニア」は
けっこういるのです。


フランク・シナトラ・ジュニアは
残念ながら父親を超えることはかなっていない。


父親を軽くしたような歌声で
思い切ってバブルガムポップでもやってみたら
もうちょっとよかったかもしれない。


赤いセーターなんか着てる場合じゃなくてさ。


それでも、
このひとのことをぼくが忘れずにいるのは
1960年代にアメリカで放映されたクレイ・アニメ
「ガンビー(GUMBY)」のオリジナル・テーマを
歌っているからだ。


父シナトラには
あのうそっぽい軽さは出せないし、
何よりも
粘土の国にあらわれたシナトラ
という設定にこの歌声はぴったりはまる。


うそっぽいのに
親しみ深い。
それはどこかで今っぽい。
その味をぼくは愛している。(松永良平


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