Frank Sinatra / Watertown
フランク・シナトラの傑作「ウォータータウン」は、
フォー・シーズンスのボブ・ゴーディオをプロデューサーに迎えて制作されている。
アメリカのどこでもない架空の街、ウォータータウンを舞台にした
男女の別れがアルバムのストーリーラインとしてぼんやりと敷かれているらしく、
シナトラのヴォーカルが、とてもドラマチックで胸に染みる。
いつでも聴きたいアルバムではないけれど、
ときどきどうしても聴きたくなることがある。
そういうアルバムだ。
どこでもない架空の街とは言え、
ウォータータウンという名前を持つ街は実際にはアメリカのあちこちに点在している。
北の方にある実在のウォータータウンに行ったことがある。
ジャケットにあるような鉄道は通っていないので、風景はダブったりはしないが、
こぢんまりとしていて、
ちょっとすすけた古さを感じさせる街だった。
イメージの底に流れているものは、合っている。
なんとなく、アメリカ人の心の中にある
ウォータータウンのイメージって街並みは違っても、
古くて、どこか感傷的なところで共通したものがあるのかもしれない。
次のウォータータウンに行くのはいつだろう。(松永)