Ray Conniff / Happiness Is

Hi-Fi-Record2006-07-26

 毎週日曜日のお昼、正午から1時間、TBSラジオで放送されている「バックグラウンド・ミュージック」の選曲を始めて十数年。イージー・リスニング、ポップス・オーケストラ、インストルメンタル、ライトジャズ、コーラスなどを選曲し、若山弦蔵さんの渋い声のナレーションをはさみながら、お届けしている番組だ。

http://www.tbs.co.jp/radio/bgm/


 先日、番組ディレクターから、選曲リストを前に雑談をしているときに「大江田さん、レイ・コニフ、好きですねえ」と言われた。図星だったので思わず絶句してしまって、でもそのままで黙っているのも恥ずかしいので、使いやすさとかリズミカルでいいとか、そんなことを喋ってお茶を濁した。


 レイ・コニフ、好きです。
 でも昔は、そうでも無かった。ロックだ、SSWだ、ジャズだなんて口角泡を飛ばしている仲間の中で、レイ・コニフが好きだというのが恥ずかしかったからというのもある。なにしろ楽しさがよくわからなかった。


 その頃と今と、なにが一番違うのかというと、収録されているスタンダード作品のメロディを知っているかどうかと言うことだろう。スタンダードを採り上げているアルバムを楽しむことができるかどうか、それはその楽曲の他のヴァージョンを知っているかどうかにかかっている。オリジナルを知らなければダメなんて言うつもりはない。あの人は、こう演っていた、この人はこう演っているっていう耳の経験が幾重にも積み重なると、インストやボーカル・アルバムの楽しさは、飛躍的に上昇するもの。モダン・ジャズもポップス・オーケストラもコーラスもビックバンドも、この点では全く同様。最近になって、痛感しています。


 で、レイ・コニフ。いつもながらに楽しいアルバムを作っています。
 この中で1曲、なんと彼は口笛を吹いているのです。ジャケットの裏にトロンボーンのソロと口笛のソロは、レイ・コニフなんて書いてある。
 この口笛が最高です。


 そしてこのアルバム、レイ・コニフ作品の場合では全く珍しいことにフェイド・アウトのエンディングが用いられています。しかもそれがB面の最後に配されているのです。なんてレアなことに気付くまでにレイ・コニフを聞いてしまった私なのでした。(大江田)



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