Carmen Cavallaro / From Brahms to Boogie Woogie

Hi-Fi-Record2006-09-30

 映画「愛情物語」(1956年アメリカ 原題は「The Eddy Duchin Story」)は、30年代から50年代にかけて活躍したピアニスト、エディ・デューチンの一生を描いた作品だ。エディ・デューチンと、ピーター・デューチン(ピアニスト)とが親子なのだということを知ったのは、ピーターの自伝「Ghost of a Chnace」の紹介文に二人のことが記されていたから。
 妻を亡くしたため息子を叔父夫婦にあずけ、海軍に従軍したエディが10年ぶりにニューヨークに帰ってくると、あまりに父と離れていたためすんなりとなつくことがなかったあの子、彼が少年時代のピーターだったのだ。なるほど。


 で、その映画「愛情物語」の音楽を担当したのが、カーメン・キャバレロだ。エディ・デューチンのゴーストということになる。映画主題歌「To Love Again」は、日本ではわかりやすく「愛情物語」のタイトルで紹介されてきた。古くからのイージー・リスニング・ファンには、不動の人気を誇る名曲である。


 カーメン・キャバレロ。1913年にニューヨークに生まれ、30年代にビックバンドに加入することから音楽活動を始める。40年代には自分のコンボを持ち、東海岸ローカルのホテル・ラウンジやラジオ出演を通して知名度を上げた。NBCラジオでレギュラー番組のホストを務めていたこともある。
 いわばラジオの時代のプロフェッショナル。演奏家の日常を起点に、それを映し込むように、レコードの内容が企画されていた時代の人気演奏家だ。
 キャヴァレロの音楽からは、饒舌に過ぎることはなく、流麗に過ぎることもなく、香り立つロマンティシズムがこぼれ落ちる。



 これからの秋にピッタリの響き。そういえばキャバレロが演奏する「ニューヨークの秋」(Autumn In New York)も、さりげなく品があってとてもいい。(大江田)


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