Living Voices リヴィング・ヴォイシズ / Hootenanny Favorites

Hi-Fi-Record2007-04-18

 リヴィング・ヴォイシズは、RCAの女性プロデューサー、エセル・ガブリエルが主導したリヴィング・シリーズ作品のひとつ。リヴィング・ストリングス、リヴィング・ギターズ、リヴィング・マリンバなどのフィーチャー楽器をグループ名に盛り込んだ匿名スタジオ・セッション作品シリーズにおいて、コーラス・アルバムの際に用いられた名前だ。


 ここでアニタ・カーが何枚かのアルバムを発表している。
 アニタ・カーのリヴィング・ヴォイシズ作品は、ダブル・カルテットで録音されたとある。男女4人づつの8人編成だ。
 コーラスをバッキングするのは、コンボの演奏。8人の人の声によるふくらみのあるハーモニーが、軽いライトなリズムで滑るように流れていく。


 クアイア・タイプのコーラスって、いったい何人の人たちで歌われているのだろうと不思議になることがある。今までで聴き知ったなかでいちばん構成メンバーが多かったのが、レイ・チャールス・シンガーズ。全員で25人。女性が13人で、男性が12人。もともとがテレビのペリー・コモ・ショーのために集められたコーラス隊で、それが64年に「太陽は燃えている」のシングルが大ヒットしたことから、せっせとレコードを作るようになる。



 クアイアの時と、カルテットの時では、アニタ・カーのコーラス・アレンジ手法が違っている。リヴィング・ヴォイシズではそれほどの技巧を用いず、とても素直なハーモニーを構成してメロディを歌わせている。と同時にオーケストラにおけるストリングス的な効果を与えてコーラスを交えていて、それはクアイア・タイプのコーラスならではの技巧なのだろう。



 フォーク・ソングを集めたアルバム。カリプソからカントリーまで、絶妙に幅広く選曲されている。曲のエンディング近くになるとちょっと、遊んでアドリヴしている。さりげなくて素敵だ。(大江田信)



H-FI Record Store