Jimmie Haskell’s French Horns / When Love Is Young

Hi-Fi-Record2007-04-23

 どうしてなのかわからないけれども、ジミー・ハスケルのオーケストラ・アレンジからは、青春の香りがする。みずみずしく清新な雰囲気が匂い立つ。さわやかですがすがしくて。


 スペース・エイジ的なアルバムでの彼の仕事を好む人も多いようだけれども、こうした普通の真っ当な選曲の楽曲を、真っ当に演奏しているアルバムがいい。なんてことはない、編曲家であれば一度は取り上げるようなメロディを、てらいもなくさらっと演奏しているようでいて、ジミー・ハスケルがやるとどこかが違ってくる。
 この「When Love Is Young」では、ボサノヴァのトレンドに呼応したのだろうか、ガット・ギターをさりげなくアレンジに用いている。それが全体のトーンを決している。でも、だからって若々しく聞こえると言うことでもないのだろう。



 リズムセクションの感覚が若々しいのだろうか、テンポの設定が早めなのだろうか、ハーモニーの構成の仕方にミソがあるんだろうか、それともレコーディングの時の音色にこだわっているのだろうかなどと思いながら、繰り返し聞いているけれども、ボクでは謎は解けない。強いて言えばホリーリッジ・ストリングスの美意識に近いのかなとも思うが。


 あまりにも有名なパーシー・フェイス・オーケストラの「夏の日の恋」を、ジミー・ハスケルが録音している(このアルバムには収録されていません)。日本の夏の定番の一曲だろう。あれほど繰り返し聞いて耳になじんでいるメロディ、パーシー・フェイスのあのアレンジが身体に染みついているにもかかわらず、ジミー・ハスケル版を初めて聞いたときには、驚いて飛び上がってしまったほどだ。だってパーシー・フェイス版より、いいんだもの。
 以来、ジミー・ハスケルのレコードは大・大・大・要注意なのだ。(大江田信)




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