Rod McKuen, Anita Kerr, San Sebastian Strings / Summer
ロッド・マッケンのことが気になり始めた。
彼の仕事を見ていると、機を見るに敏、そしてトレンドをフォローすることが上手い音楽プロデューサーと見えることも多く、そのわりにはイマイチ目に入ってこなかったのだけれども、いざ彼自身が歌っている作品を聴くと、びっくりするくらいに良いものがある。
低音のヴォーカル。そしてどこかしら温度の低いバック・サウンドが耳に残る。
こうしてアニタ・カーがサンセバスチャン・ストリングスを引き連れて演奏しているインストルメンタルに乗せて自作の詩を朗読しているときにも、その感じは同様だ。
万が一にもコブシを握りしめて、頑張るぞ!なんて言うはずもない。どこかしらシラッとした風で、うっとうしそうに、だるそうにしゃべっているように聞こえる。でも疲れている様子ではない。
夏の旅。逗留先のスペインやらサウスダコタのスーフォールズで、ふと「アイ・ラヴ・ユー」とつぶやいている。軽い感じだ。
なんというか、彼の声に微妙な厭世観を感じるのである。
Bud Dashiellの「I Think It's Gonna Rain Today」にも同様の気分を感じる。
この感じが、好きになってきた。
ちなみにこれは、アニタ・カーとロッド・マッケンが組んだシリーズ作品のひとつ。
実を言うとこの「Summer」は、なかなか見つけるのが困難な一枚でもある。(大江田信)