Ethel Smith エセル・スミス / The Many Moods Of Ethel Smith
実はつい先月、
ハイファイのお休みを少しいただいて、
アメリカの友人の家に出かけた。
朝方、
イングリッシュ・マフィンを用意してくれた彼は
おもむろにステレオのある部屋に行き、
大音量でオルガンのインストをかけた。
せかせかしたハモンドの音色が
ダイニングに流れ込んでくる。
「This is morning music.」
何ともせわしない。
しかし、この選曲は
ぼくと彼との同類項を教えてくれる。
つまり、朝(起きがけという意味で、朝とは限らない)に
ゆっくりしてる音楽なんか聴きたくないよ。
せかせかとちょこまかと
シャツのボタンの場所を違えたり、
ズボンをうしろまえ逆に履いたり、
髪を櫛でとかすのもそこそこに家を出る。
そして数秒後、
あ、ヒゲ剃るの忘れた!
そんな毎日が愛おしい。
その日、友人が流していたのがエセル・スミス。
このいそがしオルガンおばさん、
ぼくも最近、再発見中である。(松永良平)