Michael Kelly Blanchard / Quail
ご来店のお客様とマイケル・ケリー・ブランチャードのアルバムを試聴していたら、「この頃からポール・ストゥーキーと親しかったんですね」と仰る。たしかにこのアルバムは、ポール・ストゥーキーがプロデュースしている作品だ。でもどうして「この頃から」なのだろうとふと思って、「この頃からっていうのは、どうしてですか?」と伺うと、「彼は、最近になってポール・ストゥーキーとアルバムを一緒に作っていますよね」とのこと。
あわてて調べてみると、2001年にポール・ストゥーキーとマイケル・ケリー・ブランチャードとの二人で、アルバム「There Is Love」を制作していた。
「なるほど、そうだったんですね」、「この昔から、マイケルは音楽が変わっていないですねえ」と会話が続く。
へえ、そうなんだと思わず納得する。それにしても、こうしてお客様に教えていただくことは、とってもウレシイ。
マイケル・ケリー・ブランチャードのアルバム「Quail」を制作した1977年というと、ピーター、ポール&マリーの本格的な再稼働を控えて、まだまだポールは個人活動を続けていた時代だ。
P,P&Mが解散状態にあった70年代初頭からの数年間、彼は様々なアーチストの活動を支援している。
「そういえば、マイケル・モンローのデビューもポール・ストゥーキーの助言がきっかけになっていましたっけね。このマイケル・ケリー・ブランチャードのアルバムに書かれているメイン州のアドレスって、これポールの自宅の向かい側にあったというスタジオのアドレスかもしれないですね」と、僕が続けた。
お客様のそれぞれが自分の愛するものを持っておられて、そのあたりに触れる音楽を一緒に聴くと、どなたも顔がポッと紅潮される。
その温度が僕にも伝わってくる。
マイケル・ケリー・ブランチャードのアルバムを集中して聴いていたお客様は、うなずきづつ「これは、ミネソタ・フォークの一番に良いところ集めたみたい」とニッコリされた。
お店でこうして音楽の話をするのは、とても楽しい。(大江田信)