Mike Settle And The Settlers マイク・セトル / Sing Hallelujah

Hi-Fi-Record2007-06-30

 フォークにはトピカルでポリティカルなテーマを取り上げる人と、そうではない人がいると書かれていたのはどの本だったか。
 後者の代表のような人だ。
 60年代の中頃にはフォークをクアイア・コーラスで歌うニュー・クリスティ・ミンストレルスを組織して、大当たり。同時代にプロデューサーを目指していたリー・ヘイゼルウッドに比べると、制作物がロックンロールの方向には傾かなかったけれども、リー・ヘイゼルウッドと同様にマイクの胎内にもロックのリズムがあったのではないかと思う。



 さらっとした語り口で、自身の周囲のことがらやゴスペル的テーマを歌いながら、そうした資質を明らかにしているアルバム。
 50年代のロックンロールが当時の若い耳に与えた影響を、60年代に入ってから明かしている作品の一つとも言えるえだろう。しかもフォークのジャンルで。



 例えばシカゴ出身のフォーク・シンガー、ボブ・ギブソンが生ベースとアコギ(6系のコードがいい)を従えながらバンジョーで引き語り4ビートにスイングする「Easy Rider」。
 そのわくわくする感覚が、マイク・セトルにも共通している。くっきりとした8ビートに分化する手前の4ビート。8ビートになりそうでならない4ビート。生ベースでなければ、この感じは出ない。



 軽みに優れた音楽だと思う。後に引かないし、悲しい歌が似合う声でもある。( 大江田信)



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