Percy Faith His Orchestra And Chorus / Today’s Themes For Young

Hi-Fi-Record2007-08-02

 タイトルに用いられた「Themes For Young Lovers」は、パーシー・フェイス1963年の同名ヒット・アルバムに端を発して用いられるようになったヒット・シリーズ企画名。
 「More Themes 〜」「Plays Latin Themes 〜」「Themes For The "in" Crowd」などとヴァリエーションを加えながら、レギュラーアルバムの間に挟み込むようにして、60年代に年1枚程度づつ制作された。


 で、ここでは「Today's Themes For Young Lovers」。


 そしてこのアルバムのもう一つのポイントは、コーラス・アルバムであること。
 パーシー・フェイスのコーラス作品では、女性クアイアが用いられることが多く、それもあまり厳しく歌唱がコントロールされない。譜面に厳格に歌う、あるいは語尾をそろえる、フレージングをひとつにまとめると言ったことをしないで、おおよそのメロディを歌わせながら、歌い手たちの気持ちに任せている。
 ソロ・ボーカルを取っているような気分のシンガー達が数人集まって歌っているというのは言い過ぎだが、歌い手の個性の痕跡が残るようなさっくりとしたまとまりのコーラス隊だ。レイ・コニフの場合の正反対。
 コーラスが自由な気分を発散している。
 このあたりがおそらく好みの分かれるところだろう。



 白のオックスフォード地のボタンダウン・シャツの男性と、ピンクのVネックのセーターを素肌に羽織った女性のカップルが、ジャケットに納まっている。
 「59番街橋の歌」「ウィンディ」「恋の一言」などを収録したソフトロック気分の一枚。こういうライトな感覚のポップ・ロックが、どういう聴衆を対象にしていたのか、自ずと語っているようだ。(大江田信)


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