Hawaii Calls ハワイ・コールズ / Stars Of Hawaii Calls

Hi-Fi-Record2007-08-04

 「ハワイ・コールズ」は毎週の土曜日の夕方にハワイから全世界に向けて放送されていたラジオ番組の名前。
 なのでアーチスト名のようにして扱うものではないのだけれども、ついこうして言われてきたことから、その習いでアーチスト名を「ハワイ・コールズ」と記した。
 数多くある「ハワイ・コールズ」関連のアルバムの中で、この作品がありがたいのは、裏ジャケに収録のアーチストの顔写真と簡単なプロフィールが記されているからだ。



 野太い声で歌うシンガー「ハウナニ・カハレワイ」の声を聞いて、かつては男性が歌っていると思い込んでいたとオールド・ファンの方からうかがったことがある。まぎれもなく美しいたたずまいの女性シンガーなのだが、確かに声だけ聞いていると、そう思ってしまっても不思議ではない。
 このアルバムがその当時に日本に流通していれば、そうした誤解も起きなかっただろう。にこやかに微笑むハウナニの顔写真が写っているのだから。



 それにしても上品でスマートな歌唱、演奏が集まっている。
 こうしたハワイアンが白人向けのものであり、また観光客向けのエンターテイメントなのだから、本来のハワイ音楽の野性味あふれる音楽とは違うのだという見方がある。簡単にいえばギャビィやサンズ・オブ・ハワイの音楽と対立するものだという見方だ。



 それは現実とは違うという。
 ギャビーはハワイ・コールズに出演していたはずだと、山内雄喜さんは言われる。誰もがハワイ・コールズを目指していた。ハワイ・コールズに出演することが夢であり、誇りであったはずだ。ハワイ・コールズがハワイ音楽の洗練に多大に寄与したことは、否定できないはずだ。
 ギャビィがバックアップするベースと一緒にスラックキーを演奏したこともある山内さんが、そう仰る。
 そうだったのかと、胸のつかえがが氷解した気持ちになった。
 



 少なくともサンズ・オブ・ハワイとハワイ・コールズとを対立させて聞く必要はないということ。
 そういう風に思いながら、ハワイ・コールズのアルバムを聴くと、また少し違って聞こえてくる。(大江田信) 


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