The Village Stompers ヴィレッジ・ストンパーズ / A Taste Of Honey

Hi-Fi-Record2007-08-21

「ワシントン広場の夜は更けて」の
ヴィレッジ・ストンパーズを
サウンド面で仕掛けた正体が
ジョー・シャーマンであることなんて、
ほとんどのひとにはどうでもよいことかもしれない。


ジョー・シャーマンは作曲家としても著名で
ラテン・ナンバーと思われている「エッソ・ベッソ」なんかも
実は彼のペンによるものだったりする。


ソロ名義で手がけたコーラス・アルバム
「That Certain Party」は
ここ数年のハイファイのベストセラー・レコード。


そんなひとが
ヴィレッジ・ストンパーズの仕掛け人だったなんて!


などと思ってしまうのは
後世から見た屁理屈で、
同時代的に考えれば
「ワシントン広場」で大ヒットを当てた彼にとっては
ヴィレッジ・ストンパーズこそが胸を張って誇るべき作品なわけだ。


ニック・デカロだって
彼がアレンジを手がけた最大のヒット曲は
アンディ・ウィリアムスの「恋はリズムにのせて」なんだから。


大きすぎてちゃんと見てこなかった、
有名すぎてパスしてきた、
そういう大穴が、
ここ数年はおもしろくてしょうがないのだ。


ジョー・シャーマンが手をかけた最後のアルバムである本作には
ヒット曲はないけれど、
彼の趣味の良さがほどよく出ている。


ヴィレッジ・ストンパーズのおかげで
ぼくはまた再びジョー・シャーマンの大きな技量に
惚れ込んでゆく。(松永良平


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