The Modern Folk Quartet モダン・フォーク・カルテット / Same
モダン・フォーク・カルテットこと、MFQ(この愛称はすでにこのデビューアルバムの時点で美しいロゴでジャケットに印刷されている)のデビューは、映画「パームスプリングスの週末」とのタイアップだった。やぼったいカントリーなんかじゃなくて、いま流行のフォークを聞きに行こうぜと出向く先のクラブでMFQが演奏している、そんなシーンが映画に登場する。
ファースト・アルバムに収録されたナンバーも、ポップ・ソング、ゴスペル、ブルーグラス、労働組合歌(これが一番フォークらしいレパートリー)、ラテン、コミカルなドリンキング・ソングなど多岐にわたっていて、いわゆる純正フォークファンから見れば、眉をしかめられそうなポップに過ぎるデビューだったのかもしれない。
60年代前半当時の音楽トレンド、しかもやや知的な白人若者層のそれは、フォークだった。
ジャズなフォーク、ラテンなフォーク、カントリーなフォーク、カリプソなフォークなど、いっぱい登場した。
その逆もある。
ロックなジャズ(TOTO etc)、ロックなラテン(ロス・ロボス etc)、ロックなカントリー(イーグルス etc)などとそれは同様。
フォークが自前の音楽の方法論だったのだ。
MFQのメンバーは、この後に様々にロックの世界で活躍する。だからということもないが、MFQの音楽はフォーク・ロック一歩手前のフォークだったりすることがある。
12弦ギターが響きドラムのスネアが踊る「Wanderrin' Willie」。ラヴィン・スプーンフルの従妹、ルーフトップ・シンガーズと隣り合わせのサウンドだ。小躍りしたくなるロッキンなフォーク。素敵な一曲。
ずっと馴染んできたレコードに、また新たな魅力を見出した気分。うれしい。(大江田信)