Doris Day ドリス・デイ / Love Him

Hi-Fi-Record2007-09-29

 ハイファイ藤瀬言うところの「いやざんしょ」が、やっと終わりそうな気配。もう10月の背中が見えてというのに、町中にこんなに半袖や半ズボンの姿があふれている9月末なんて、今までにあったのだろうか。



 なんとなく一日中、降ったりやんだりの軽い雨模様だったせいもあって、土曜の夜の明治通りは、ちょっと肌寒い空気が漂っている。ついおとといまでは秋物のコートなんてのが視線に入ると、この暑いのにとんでもないと思っていたのだが、やっとファッション・ショップのウィンドウ・ディスプレイに見合う気温になってきた。



 秋に似合うレコードのことを考えていて、思い浮かんだのがこれ。
 格別に秋をテーマとした作品を歌っている訳ではない。ただしアルバム全体のゆるやかなテンポや、どことなく熱からずぬるからずの微妙なサウンドのトーンが、秋の気分をつれてくる。



 もちろん気を詰めて集中して聞いてもいいのだが、このアルバムを部屋のインテリアのようにして、静かに流しているのがいい。ふっと振り向くとドリス・デイの声が流れている。また仕事に向かう。あるいは食事をする。気がつくとまたドリス・デイの声が耳もとをそよいで行く。



 60年代の白人ポップ女性シンガーたちにおいて、独特のたち位置の人だと思う。テレビや映画で大活躍したセレブリティ。音楽を専門としたアーチストではないが、歌が余儀という感は全くしない。どことなく清楚な感じが香り、それがさりない好感を残している。少女でもなく母でもない。レディな感じ。



 このアルバムに似合う飲み物は何だろう。もしかしたらウィスキー・ティなんてどうか。ちょっと寒くなってきたので、暖かい飲み物が恋しくなってきている。(大江田信)


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