The Maile Serenaders / Kani Ka Pila! : Let’s Play Music! Favori

Hi-Fi-Record2007-10-03

 マイレ・セレネーダーズは、ハワイアンの主要レーベルのひとつ、フラが、アルバム制作をする際に用いたセッション・バンド名。その時々によってメンバーの構成は変わる。
 このアルバムに集っているのはエディ・カマエやデイヴィッド・ロジャースなど。そう、サンズ・オブ・ハワイの主要メンバーが集っているのだ。


 それにしてもデイヴィッド・ロジャースのスチールの音色は、彼がどのアルバムで弾いていてもすぐにわかる。
 決して難しいことをしているわけではない。単音か、せいぜい二音を用いて、そのコードのトップ・ノートを弾いていたり、さりげなくオブリガードを加えたりしている。
 ドミソ、ファラドなどのコードの構成音以外に、難しいテンションの音を加えてくるわけでもない。
 シンプル極まりないのだ。 
 それでも聴いていると、これで充分なのだと思えてくる。
 音楽をちょうどいい具合に呼吸している。いつだってタイミングが絶妙だ。音程が抜群にいい。そして音色に色気がある。


 これはなかなか出来なる芸当ではない。
 コツコツと地味な演奏を続けるには、相当の根性が必要だと思う。
 演奏家にとって楽器を弾くという行為は、自分というものを映し出す鏡を見続けることに他ならないからだ。


 デイヴィッド・ロジャースは、たどり着いた高みの上で、ほどよく自分の演奏に充足している。
 それがとてもうらやましい。(大江田 信)



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