Tommy Roe トミー・ロウ / It’s Now Winter’s Day

Hi-Fi-Record2007-10-09

トミー・ロウのことを見直したきっかけは
ブライアン・ウィルソンの奥さんがやっていた
スプリングというグループがカヴァーしていた
「エヴリバディ」という曲を聴いてから。


それからほどなくして、
カート・ベッチャーが全面的にコーラス・アレンジを担当した
この埋もれた名作のことを知った。


「ムーン・トーク」という曲が
ハイファイでは昔から人気がある。
まるで月面の無重力の影響を受けたような
ハーフトーンのコーラスが楽曲を未来的なものにしている。


ところが、
このコーラスはシングルヴァージョンでは外されているのである。
通常、シングルの方が
お金も手間もかけてレコーディングされるので
豪華になるものなのだが、
この曲に関して言えば、
何だかシンプルで素っ気ない印象になってしまっている。


これは推測だが、
おそらくトミー・ロウ自身か、
レコード会社によって
あのコーラスが突飛すぎると判断されてしまったのではないかと思う。


それもまた
カート・ベッチャーの先進性を物語る
ひとつのエピソードであると思うのだが。(松永良平


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