Rosalie Sorrels / Folk Songs Idaho And Utah

Hi-Fi-Record2008-03-08

 女流フォーク・シンガー、ロザリー・ソレルスのデビュー最初期の作品。とてもやらわかく素直に伝統的なフォーク・ソングを歌う。
 自身を重ね合わせて歌うシンガー・ソングライターとも言うべき態度がうかがえて、そのあたりがジーン・リッチーの音楽とは違う響きを生み出していると言えそうだ。伝承的な態度ではないのである。そして、そこがいい。



 タイトルを見ながら、それにしてもアイダホとユタかあと思う。
 まぁ、買付けで行くことはないだろうなあと思ってしまう。
 買付けに向いているといえば、次に向かう街まで車で走って数時間、永くかかっても半日くらいでたどり着けることが条件になる。ニューメキシコとか、ノースダコタとか、オハイオとか、街と街の間がグンと離れている州は展開が難しく、あまり買付けには向いていない。アイダホとユタも同様だろうと思う。
 ロザリーのレコードに対して、不謹慎な感想かもしれないけれど。



 茫漠とした風景の写真が、ジャケットに用いられている。人家らしきものは手前にほんのちょっと映っているだけ。穏やかな風景とも言えるかもしれないが、その実、これが夜になると恐ろしく寂しい光景と見えるに違いない。



 小さな明かりが点在する暮らしの日々でうたわれた歌。
 このロザリーのアルバムから響いてくるのは、そんな空想をかき立てさせる歌声だ。静かで深い。
 ご主人のジム・ソレルスが伴奏のギターを弾く。
 とても慎ましい音色が聞こえる。(大江田信)



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