Buddy Greco バディ・グレコ / Modern Sounds Of Hank Williams

Hi-Fi-Record2008-06-18

 ハンク・ウィリアムスの「泣きたいほどの寂しさだ(I'm So Lonesome I Could Cry)」がもともと好きな曲だから、思わず耳が止まった。オリジナルではごく素直な3/4拍子の曲を、シャッフルする6/8拍子にアレンジしている。まるでジャズ・ワルツのような感じに聞こえる。


 どこかでこの歌い方を踏襲しているヴァージョンを聴いたような気がして考えてみたら、リオニドのサード・アルバムに収録されているテイクだった。
 リオニドの場合は、いわゆるモダン・ジャズなピアノ・トリオ(だったと思う)をバックに、ゆったりとワルツをくゆらせるアレンジ。テンポもまるで違う。どこに近しさを感じたのだろう。


 歌い方の踏襲と書いた。リオニドのメンバーにそうした意識があったのかどうか、つまり彼らがバディ・グレコ版を聴いたことがあるのかどうかは、わからない。
 ただ、どういえばいいのか、カントリー音楽の世界の住人ではない人が、この歌を扱う時に生じる態度の共通性とでも言えば良いのか、仕上がりにほどよい距離感を感じる。


 豹変し、更なる魅力を発揮している愛すべきカントリ−・ソングの古典。
 ほろ酔いの気分になった。(大江田 信)