Boston Pops Orchestra : Arthur Fiedler, Conduntor / Star Dust

Hi-Fi-Record2008-06-19

 アメリカの素顔を知りたくて、現地で暮らしている日本人の方のインターネット上の記事を探して、いくつか読んでいる。
 そのひとつがシカゴの不動産業界で働いている明美コーンさんという方の「アメリカ便り」。これがとてもリアリティがあって、おもしろい。


 ちょっと前、家のリフォームのついての記事があり、こんな一節があった。「1960年代の住宅では、主婦がキッチンで立ち働き、キッチンとは別のフォーマルな食堂で家族は食事し、レコードプレーヤーやTVは当時一家に1台、家族がリビングルームで共にくつろぐ、という暮らし方であった。現在はキッチンが家の中心。それぞれが料理に参加し、食事し、くつろぎ、そこが家族の唯一の交流の場という家庭も多い。従って、広くて大きくモダンな流しやカウンタートップ、床から天井まであるステンレスの冷蔵庫、アイランドなどを配置したキッチンに人気は集中、建物自体は古くても、現代的に内部を改装した物件は売る際に有利と言える」。



 なるほどなあと思った。1960年代には、テレビとレコードプレイヤーが各家庭に用意されていた、しかもそれは家族がくつろぐリビングルームに置かれていたというのだから。



 家庭のリビングでは、こんなレコードが聴かれていたのかもしれないと想像してみる。アーサー・フィードラーが指揮するボストン・ポップス・オーケストラによる星や月にまつわるポップス・オーケストラ・アルバム。
 ハイファイの友人のひとり、小粋なジャズ・ダディ、ジョニー・ラッソは、音楽大学を卒業してからしばらくの間、クラシック・オーケストラに在籍し、トロンボーンを吹いていた。定期公演に組み込まれている月に一度のポピュラー音楽の演奏会、たとえばブロードウェイ・ミュージカルの演奏は、それは楽しかったそうだ。客席もとても楽しそうにしていたという。
 彼がクラシック・オーケストラに在籍していたのは、ちょうど60年代の後半の頃のことだ。



 家族そろってコンサートを楽しみ、そして家ではレコードを楽しむ。そんな休日や週末の過ごし方があったのかもしれないと想像すると、少し楽しい。(大江田信)