Haunani Kahalewai ハウナニ・カハレワイ / Spotlight On Haunani
ハウナニ・カハレワイは、ラジオ番組「ハワイ・コールズ」の大スターだったという。野手味溢れるスケールの大きさと、大柄な体躯からこぼれだす繊細な可憐さを併せ持つヴォーカルに魅力がある。正式な音楽教育を受けていないとも聞くが、音楽的なカンの良さには生来のものがある。
60年代に入った頃から、彼女はハワイ・コールズのメンバーから外れた。少なくとも彼女の意志では無かったらしい。ハワイ・コールズを主宰するウェブリー・エドワーズとの間に、なんらかの確執があったに違いない。
ハワイ・コールズと言えばキャピトル。そこから離れた彼女は、デッカに移籍した。
デッカもまたキャピトルと並んでハワイアンに熱心だった本土レーベルだ。
キャピトルには、ハワイ・コールズという大きなカタログ的な柱があるが、デッカはそうしたマーケティングは出来ない。そのせいかどうか、ポピュラー・ヴォーカル的な作りのハワイアン・アルバムが多いと思う。
このハウナニのアルバムにも、キャピトル時代に比べると、ポピュラー・ヴォーカル的な色彩が伺える。
それがハウナニの音楽の軸足を揺るがしているかというと、全くそうしたところが見えないのが彼女のすごいところ。聴くものをおおらかな気持ちにするパルスを、ばっちり発揮している。
年配のハワイアン・ファンの方に伺ったことがある。
ハワイ・コールズのアルバムのほとんどには、それぞれのシンガーの顔写真がそえられていない。
「だからさ、俺たちはハウナニを男だと思っていたのよ。それがさ、女だとわかった時には、びっくりしたねえ」。
ぼくはこのエピソードが好きだ。(大江田信)