John Simon ジョン・サイモン / Journey

Hi-Fi-Record2008-07-12

 ジョン・サイモンと言っても若い世代のアナログ・ファンには縁遠い名前かもしれない。
 しかし、今から15年くらい前まで、日本のシンガー・ソングライター〜ロック・ファンは、避けて通れない名前だった。


 かつてご本人と会って話をする機会があった。日曜音楽家たちが集うクラシック・オーケストラでチェロを弾いていた医者の父を持ち、彼自身はジャズに傾倒して育った。今でもジャズを最高の音楽だと思っていると聞いた時に、なんだかふと腑に落ちたような気がした。


 ジョンがプロデュースした音楽を聴きながら、そこに冷静で客観的な眼差しを感じることがある。音楽に一定の構築性がある。そうした方法の源泉が、ジャズを学んだオーケストレーションにあるのかもしれないと思ったのだ。


 ジョン・サイモンはレコーディング用のリハーサルに、ピアノを弾きながらつきあうのだという。そこで音楽的な(主としてコードの)助言をしたりするとのことだった。そういえば60年代に彼がからんでいた作品には、ある種のクセのようなものを感じることもある。実際のレコーディングでも、ジョンがピアノを弾いているのかもしれない。



 このアルバムこそ、ジョンがやりたかったことを存分に表現したものなのだろう。
 このセカンドから逆に照射してみると、ファースト・アルバムは、ザ・バンドなどウッドストック周辺のロック・ミュージシャンの手を借りつつ制作したジャズ・マインドのSSWのアルバムと聞こえて来る。(大江田信)