Raymond LeFevre And His Orchestra / Love Me, Please Love Me
俗に4大(ポップス)オーケストラという呼び方がある。
モール・モーリア、フランク・プウルセル、レイモン・ルフェーブル、カラベリ。この4人が主宰したオーケストラを称してこう呼ぶ。
この種のストリングスを主軸とするフル・オーケストラの音楽が、最も輝いていたのは1950年代後半から60年代の終わり頃までにかけてだろうか。劇的に変化を遂げるサウンドやレコーディングの手法に並走しながら、レパートリーを広げて時代に沿うものとしつつ、自身の音楽を表現した。
4大オーケストラの音楽にはそれぞれの特質があるが、ルフェーブルと言えば、中低域を生かしたオーケストレーションの響き、そして時としてやや陰鬱なほどのほの暗さへの傾斜と、ドラマチックに音楽を終焉させる技法にとどめを刺すように思う。最もヨーロッパ的な響きを好む人だと感じるのだ。
つい先日、6月27日にルフェーブルは、鬼籍に入ってしまった。
これで残ったのは、ついにカラベリ一人となってしまった。
「Love Me, Please Love Me 」には、ルフェーブルらしいアレンジが生える。追悼の思いを込めて。(大江田信)