Grant Green グラント・グリーン / Visions

Hi-Fi-Record2008-07-25

一曲目が「いったい現実を把握している者はいるだろうか」。


シカゴの名曲で、
邦題はそのまんまと言えばそのまんまの直訳なのだが
ストレートすぎて虚を突かれた!
という感じが昔からしていて
とても好きだ。


と言っても、
実はこの曲を初めて聴いたのは
シカゴのヴァージョンではない。


80年代の後半に
P-Vineという日本のレコード会社から
「レッド・バード/ブルー・キャット・ストーリー」という
2枚組のアルバムが出ていた。


ニューヨークを拠点に
ソングライターのリーバー&ストーラーが設立したレーベルの
60年代のシングル曲を集めたコンピレーションだった。


とかなんとか。


そんなことは知らずに買った。
ジャケの赤い鳥と青い猫が
かわいらしかったのだ。


そのなかに、
解説氏いわく、
本当はレッド・バードでもブルー・キャットでもないのだが
なぜかアメリカから送られてきたマスターテープに入っていたという
コパー&ブラスというグループのカヴァーした
「いったい現実を把握している者はいるだろうか」が
収められていた。


理由はたしか
「いい曲だから」といったもの。


え? そんなのありなのかな? と思いつつ、
この曲のシャッフルビートの心地よさに酔わされたのでした。


あれが英断だったのか
どさくさだったのかわからないけど
とにかく
ぼくはそのおかげで
「いったい現実を把握している者はいるだろうか」を知った。


けっこう感謝しているのです。


レッド・バード/ブルー・キャットのコンピに
縁もゆかりも無い曲が入っていたという
いったい現実を把握している者はいるだろうか?の巻。(松永良平


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