Cy, Maia and Robert サイ、マイア & ロベール / On The Scene
アメリカ人にしては几帳面な文字が、ジャケに貼られた黄色いポストイットに書かれ店頭に並べられていた。メンバーのひとり、ロベール・ルリーヴルが「1970年代デンマークの伝説的なプログレ/サイケ/ブルース・ロック・バンド PANの中心人物として活躍した」のだそうだ。でもボクは、そのデンマークの「 PAN」のことをまったく知らなかった。
フランス人とイギリス人とデンマーク人によるP,P&Mスタイルのトリオ。
試聴した。フォーク・リヴァイヴァルに触発され、その後にシンガー・ソングライター傾向を見せ始めたフォーク、例えばサイモンとガーファンクルなどの影響を強く感じさせると同時に、自身の足元のルーツ・ミュージックをポップな感覚で処理するセンスにも、独自の冴えを見せていると思った。
おそらくこうした音楽が、先端的だったのだろう。
言い方は悪いかもしれないが、こういう風にフォークをうまく利用している音楽には、フォークにとどまらないエネルギーや視線、態度が音楽ににじみ出る。それが興味深い。例えばドイツのグループ、シティ・プリーチャーズも同様だ。女性が一人参加しているところも同じ。そしてどちらも、ちょっと暗い。ジャケも音楽もダークだ。
レンガづくりの地下室のライヴ・ハウスで演奏されていたような雰囲気がする。タバコの香りと、ビールの匂い。そしてライヴのあとの喧噪が聞こえて来るようだ。
フォークのヒップネスを感じさせる。(大江田 信)