V.A. / Stiffs Live
1976年に船出し、
パブロックの全盛期を牽引したレコードレーベル、
スティッフのオールスターとニューカマーたちが
一同に介したパッケージ・ショーのライヴ盤。
現在、CDは内外ともに廃盤で
入手困難になっていることを
お客さんに知らされた。
だからと言って
このアナログがつられて高額になったり
飛ぶように売れているわけでもない。
そのことを分析するつもりはない。
ただ
そういうあり方をしているレコードに触れると
ぼくはちょっとほっとする。
なんというか
ザッツ・中古レコードという感じがするのだ。
90年代に中古レコードを買うことがブームになってからなのか、
それともネット時代にレコードが
ほとんど投機の対象みたいな価格になってからなのか、
この「スティッフス・ライヴ」みたいに
いつも同じような値段でぽつんと置かれ、
ホッとさせられるレコードが減っていた気がする。
このアルバムで
ひとに「これいいよ」と薦める曲は
エルヴィス・コステロの歌うバカラック・ナンバー
「I Just Don't Know What To Do With Myself」だが、
自分を奮い立たせるためにぼくが聴くのは
もっぱらレックレス・エリックの2曲だ。
どんな時流にも翻弄されず
持ち上げもされない
鋼より堅いポンコツ・ロッカーの意地に
ときどき触れたくなる。（松永良平）
