V.A. Viceroys, Jimmy Hanna, Exotics, etc. / Bolo Bash

Hi-Fi-Record2008-11-30

少し前に起きた事件で、男が祖母の家に行きたいという少女を連れて、車で家を探し回って警察に尋ねたところ、お縄になったというのがあった。


ヴィム・ヴェンダース監督の「都会のアリス」を思い出した。アメリカに滞在するドイツ人ジャーナリストである主人公フィリップ・ヴィンターが、母親とはぐれた少女と出会い、少女の記憶を頼りにその少女が昔住んでいた家を探す話。


映画評論家の淀川長治先生はヴィム・ヴェンダース作品を評するに、御著「映画が教えてくれた大切なこと」にて「映画的な、あまりに映画的な」という、いかにもヌーヴェルヴァーグ的な敬愛の念を示した章題をつけられた。(後になって思い出したけど、これって山田宏一さんがトリュフォーに送った言葉と同じではなかったか。)そして、ヴィム・ヴェンダース監督は映画をこよなく愛する淀川さんのことを「東京の天使」といったという(嬉し恥ずかしネット調べ)。


フィリップ・ヴィンターは家を探すことを断念し、少女と別れた直後、警察に捕まる。先に挙げた事件の男もそりゃ、犯罪なんだろうけど、性善説を唱えるなら、というか信じるのであれば、またはスタジオジブリが好きなら許してやって欲しい気もしないでもない。


千と千尋の神隠し」を見た後に「監督はロリコンである」と、昔好きだった女の子に言ってしまった。「宮崎駿監督がそこにいたら抱きつきたいくらい好きッ!」という、彼女の発言につい嫉妬してしまっての暴言だったので、お許しを。ちなみに僕は「カオナシ」が好きです。あぁ、ヤダヤダ。


都会のアリス」では、ヴィム・ヴェンダース監督自身もジュークボックスを流す男として登場している。ジュークボックスから流れた60'sサーフ・ミュージックも良かったけれど、主人公の車のラジオから流れるソニックスとかそんな感じのゴリゴリのガレージ・ロックやR&Bがやたら格好良く聴こえたのを覚えている。映画を見た後はガレージ・ロックの7inchばかり買っていたっけ。
静かなモノトーンの画面と、衝動の塊のようなガレージ・ロックコントラスト。今日の一枚、「V.A. Viceroys, Jimmy Hanna, Exotics, etc. / Bolo Bash」みたいなノーティなサウンドが、主人公の懊悩に見事にハマっていた。


事件の男の車ではどんな音楽が流れていたのだろう。そんなどうでもいいことが気になった。「流れていたのはラジオでもCDでもなく、天使との会話だったのかもしれない」なんて言ったら格好良さげだけど、そんな危ない地雷…! 


P.S. 先日のブログで書いた永田裕志さんのブログを発見したという情報を得て拝見した。写真が最高に素敵だった。広告がスゴイことになっていたけど。(藤瀬俊)


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