林亭の新作について日本で一番早く触れてみた

今日、ちょうど今このブログをハイファイで書いている時分に
林亭は世田谷でライヴをやっている。


正確に言うと、
佐藤博(名盤「青空」で知られる佐藤GWAN博)さんのライヴに
ゲストとして登場し、
何曲か演奏をしているというのが今日の段取り。


林亭というのは
佐久間順平+大江田信のアコースティック・デュオのこと。
70年代初め、
高校の卒業記念に自主制作で
アルバム「夜だから」を200枚発売した。


大江田信は当店ハイファイの店主。


林亭が37年ぶりのセカンド・アルバムを制作していることは
なんとなく密かな噂になっている。


そしてぼくは幸運にも
その内容をほぼ完全なかたちで聴かせてもらっている。


二ヶ月ほど前だったか、
それとも夏の買付のときだったかもしれない。


大江田さんがリードをとる
ある曲をi Podで聴かせてもらった。


「意見が欲しいんだ」


ろくに楽器も出来ないぼくの意見など
取るに足らないものには違いないのだが
不安を取り除くことに役立つのならと
その曲を聴いた。


そこで、あろうことか
この男(ぼく)は、


「これは童貞の音楽ですね」


と暴言を吐いたのだった。


いや、暴言のつもりではなく、
それは褒め言葉だったのです。


大江田さんの、ちょっとフラットした声に
年齢とはまったく関係のない
恋心へのとまどい、
まっすぐ生きることへのおびえのようなものを感じて
心がぐらっと動いてしまったのだ。


落着きや重み、渋さというような形容詞が持つ
完成されてしまったもののつまらなさから
きちんと離れたものになっていることが
うれしかった。


最高の技術をもってしても表現できない
ゆらゆら、もぞもぞした感じがあって
その揺らぎは
プロフェッショナルではないかもしれないけど
かけがえのないものだ。


佐久間さんが林亭の再始動に際して言った
「大江田はそのままでいいんだ」という言葉を
とても鮮やかに思い出した。


来年、林亭のアルバムは発売になる。
ジャケはまだない。
だから、今日のブログにもジャケはない。


そういえば、
アルバム・タイトルは何になるんだろう。
そんなことを今夜は打ち上げで話したりしてるんだろうか。(松永良平


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