Ohta-San / Cool Strings

Hi-Fi-Record2009-01-06

オータ・サンのヴァージョンの
「ピープル」が素晴らしいですよと教えてくれたのは
ハワイアンのお客様でもなく
ウクレレの愛好家の方でもなく、
実は
日本のヒップホップ・アーティスト、
ECDだった。


“教えてもらった”というのも正確ではなく、
高円寺で数年前に行われたイベントで
ECDが「素晴らしいですよ」と言って
この曲をかけた、
それをぼくは客席から見ていたというわけ。


バーブラ・ストライザンドの当たり曲であるこの曲、
NRBQがニューヨークの現代美術館で
原曲をどろどろにしてしまったカヴァーぐらいしか
お気に入りがなかったのだが、
このオータ・サンのヴァージョンは
一瞬でそれを飛び越えてしまった。


「この曲をこんなに良い曲だと思うなんて」
というような意味のことをECDは語っていたが、
それはその場にいた全員が同感だったと思う。


このアルバムのストリングス・アレンジは
日本の音楽家である平岡精二。


この曲の勝因は
美しすぎる弦にもある。


無防備で身を投げ出すような美しさがある。


平岡氏はこの当時、
心身の調子が悪く
ハワイに渡って静養がてら仕事をしていたのだと聞く。


平岡精二というと
去年聴いたいろんな楽曲の中でもひときわ印象に強い
長谷川きよしの「僕のピアノのそばにおいで」の
作詞作曲を手掛けていることを
思い出さざるをえない。(松永良平


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