Franck Pourcel フランク・プウルセル / Cole Porter Story

Hi-Fi-Record2009-02-18

 長らく選曲の仕事を続けていたTBSラジオ日曜お昼の音楽番組「バックグラウンドミュージック」が、この春の改変期をもって終了することになった。


 番組ではイージー・リスニング・オーケストラの演奏で、内外の美しいメロディを聴く事を旨として来た。
 選曲の仕事を通して、いったいどれだけの数の曲をきいたのだろう、そして選曲したのだろうと思って、使っていたデータベースを見たら、優に7千曲を超えていた。演奏家、タイミング、いつ放送したか、選曲に際して考えたことがら、例えば季節感とか、ビートが4ビートなのか16ビートなのかといったメモが添えられている。


 この仕事をしなければ、これほどにポップス・オーケストラの音楽にのめり込むことはなかったろうと思う。
 アルバム作りに秘められたコンセプトというか、音楽の芯に配された工夫のようなものに、いつしか気づく事になった。


 コール・ポーターの作品集。
 ここに図抜けて素晴らしい「ナイト・アンド・デイ」が、収められている。イントロは無い。冒頭の「ナイト・アンド」までの部分がテヌート気味に奏されて、その先はミディアム・テンポの16ビートに支えられメロディが運ばれる。
 この冒頭の一瞬に、すべての醍醐味がある。


 このアルバムを貫くビートは、16ビート。上品でなめらかに運ぶ16ビートが、もう一つの隠れたコンセプトになっている。(大江田信)


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