Barbra Streisand バーブラ・ストライザンド / Butterfly

Hi-Fi-Record2009-02-19

バーブラ・ストライザンド
デヴィッド・ボウイの「ライフ・オン・マーズ」を
歌っているということを知ったときは驚いた。


同時代のポップス、ロックを採り上げた
と言うには
あまりに過激な選曲!


そして、
そのヴァージョンは素晴らしい。


ボウイは他人にカヴァーをあまり許可しない
といううわさを聞いたことがある。
バーブラであれば
文句は言えないというか、
むしろ本望だったかもしれない。


ひょっとして
彼女にいつか歌ってもらうことを意識して書いた、とかね。


そんなバカなという話でもない。
たとえば、こういう話もある。


ランディ・ニューマンの「セイル・アウェイ」の
CDに付いていた英文ライナーノーツを訳したときに
「ロンリー・アット・ザ・トップ」を
フランク・シナトラに歌ってもらうつもりで書いたと
ニューマンが述べていることを知り、
結構しびれた。


さらに話はバーブラにも及び、
実際に彼女に話を持ちかけたところ
「これをわたしが歌うのを聞いたら
 みんなこの歌詞はほんとのわたしだと思うでしょうね」
と言ったという逸話も紹介されていた。


後世の人間が
いろいろとジャンルで分けて考えるよりも
実際に時代を生きていたひとたちは
お互いに距離を置いて暮らしてはいなかった。


そんなことを考えたりする。


ちなみに、
「ライフ・オン・マーズ」を収録した
この傑作アルバムは
アートワークも
なかなかシャレが効いている。


バターにたかるハエ、
すなわち、
バタフライ、とはこれいかに。(松永良平


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