Barrence Whitfield バレンス・ホイットフィールド / Ow! Ow! Ow!

Hi-Fi-Record2009-09-23

The Cool School 65 バレンス その2


東海岸レコード屋
バレンス・ホイットフィールドに出会った。


凶暴な黒人ロックンローラーのイメージをくつがえす
おちゃめなやつ。


「おれ、日本に行きたいんだよ。
 何とか作戦練ってみてくれない?」


心から日本に行きたそうな顔で
西の方をほわーんと見つめるバレンスが
またかわいらしいのだった。
図体はぼくらより全然大きいけど。


ところが
話はうまく転がるもので
バレンスの来日が数年前に実現した。


確かブルース・フェスかジャズ・フェスの一員としての来日で、
東京では小さなクラブで
ソロ・ライヴもぶちかましたらしい。


“らしい”という表現は
ちょっと歯がゆい。


せっかくの来日なのに
その情報は熱狂的なファンの間にしか伝わらず、
もちろんぼくたちにも音沙汰無しだったのだ。


その翌年、
再度レコード屋を訪れると
バレンスがいた。


ぼくらの顔を見るなり、
「いよー、探してたんだよ、おまえたちのこと」と
軽く雄叫びをあげた。


なんでも
来日したときに
ぼくらの渡した名刺を頼りに
何とかハイファイを探そうとしたのだが、
難しくて断念したのだという。


ウソをつくような顔には見えないから
おそらく本当に探そうとはしてくれたのだろう。


「日本はすげえワイルドだったぜ」と
鼻息も荒く思い出話を始めるバレンス。


いったい何がそんなにワイルドだったのと訊くと
間髪入れずに答えが返ってきた。


「トイレだ!
 あの暖かい便座!
 お湯の出る便器!
 ああ、おれは天国に来たと思ったぜい!
 ナハハハハハハハハ!」


次に日本に行ったときは
あの便器を買って帰れるように協力してくれよ、
今度こそはちゃんと連絡するから、とバレンスは言い、
ニカッと笑った。


残念ながら
次にその店に行ったときは
店のオーナーが変わっていて、
バレンスに会うことも出来なかった。


ホームページを見る限り、
今でも彼は元気にあちこちでギャオギャオかましてるらしい。
あの店で働いているかどうか、
そんなことはホームページには書いてないよね。


レコード屋で会えようが会えまいが
彼が最高のロックンローラーであることに変わりはない。


またいつかきっと会えるさ。(この項おわり、いや、会えるときまでつづく)


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というわけで
今日もバレンスでひと盛り上がり!


イエーイ!(松永良平


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