The Dakotas ザ・ダコタス / The Cruel Surf

Hi-Fi-Record2010-09-01

アメリカのレコード産業で
プロモ盤のシングルが作られるようになったのはいつごろからか。


ちゃんと調べればわかるのだろうが
レコードを買付ている実体験から判断すれば
1950年代の終りからではないか。


初期には
プロモ盤であることを明確に示す
色違いのラベルもまだなく
ハンコでべたっと「PROMOTION COPY」と
押されていたりするだけのものもすくなくない。


そもそも
プロモーション(プロモーショナル)コピーという呼称自体も
ある時代までは各社まちまちであったようだ。


リバティ・レコードでは
60年代半ばまで
「AUDITION RECORD」と印刷されたラベルをよく見かける。


オーディション・レコードって
要は、実際に発売するかどうかを決めるレコードってことだろう?
第3回に書いた
プロモ盤だけ制作されて
実際には発売されないシングル盤はいっぱいあるという実情を
まさに物語る名称じゃないか。


「きみたちのシングル、
 オーディション・レコードで出しといたから」


実際にそういうやりとりが
アーティストとあったかどうかは知らないが、
オーディション・レコードのラベルを見かけるたびに
業界のシビアさが伝わってくるようで
ついつい妄想をたくましくしてしまう。


4、5回まわってニャンと鳴く その5 松永良平