Judy Collins ジュディ・コリンズ / In My Life
ジュディ・コリンズをプロの道に導いたのは、エレクトラの社長、ジャック・ホルツマンだ。
ヴァンガードからデビューし、一躍スターダムに上り詰めるジョーン・バエズの一部始終を見ていたジャックが、自社からバエズの対抗馬をデビューさせようと探し始めたところに、フォーク・シンガーのボブ・ギブソンより彼女を紹介された。1960年代初頭のことだ。
かつてジュディが常連の一人として歌っていたデンバーのコーヒー・ハウス、エクソダスにおいて収録された演奏をテープで聞いたジャックは、ニューヨーク近郊コネチカットに転居して、大学で文学を教える夫と結婚生活を送りながら音楽活動を続けていた彼女の演奏を聴くためにグリニッジ・ヴィレッジのコーヒー・ハウス、ヴィレッジ・ゲイトに出向く。そしてこの間の成長に驚き、すぐにレコード制作を申し込む。
ボブ・ディランを見いだしたコロムビアのプロデューサー、ジョン・ハモンドから、アルバム制作の依頼を受けるも、ジャックの申し出を受けることを心に決めていたジュディは、その申し出を断ったというから、彼女はよほど光る存在だったのだろう。
当初の伝承民謡を中心に据えたレパートリーから、同時代作家を積極的に歌うシンガーへと変貌を始めて一回りしてのち、発表された作品。
タイトル・ソングの「イン・マイ・ライフ」が、想像を超えて遥かにいい。自らを"歌手と言うよりも、物語の語り部"と考えていたとするジュディ・コリンズ自身の言葉とも、重なり合う歌唱だと思う。(大江田信)
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