Sandie Shaw サンディ・ショウ / me

Hi-Fi-Record2011-01-13

 夕方に、フランス人女性ふたりのお客様が見えた。
 ニュー・カレドニアに兄弟が暮らしていて、そこを訪ねた帰りに、日本に寄り道して一週間ほど滞在するのだという。
 お一人は、お父さんがジャズの仕事をしていたため家には沢山のレコードがあり、子供の頃から繰り返しジャズを聴いているうちに、そこからソウルやボサノヴァに興味を持つようになった。ユセフ・ラティーフはないものかと探したり、ちょっと不思議な趣味の方。
 もうお一人は、ギャビィ・パヒヌイがお好き。ちょっと試聴して、ああ、これこれ、これがいいのよと仰る。
 お二人とも、年の頃は40代と思しきふう。パリに住んでいる。共に美しい。



 帰り際に壁にかかっているサンディ・ショーのアルバムを手に取って、
「彼女、サンディ・ショーよね。この写真、サルコジの奥さんとそっくり」と言う。
 「サルコジって、あの大統領のサルコジ?」と聞くと、
 「そう、ニコラ・サルコジ」。
 サルコジの現妻は、3人目の奥さん。確かイタリア出身の元ファッション・モデルだ。
 「へえ、そう。サルコジって、ひどいフランス語しゃべるっていうよね?」と聞くと、
 「まさか、知っているの? 日本でもニュースになっているの? そう、ひどいフランス語をしゃべるのよ。日本の人も知ってるなんて」といいながら、二人ともそれまでの笑顔とは打って変わって、ひどく暗い声になった。
 「ひどいのよ、あの人。それにね、あの人って、ワインが飲めないのよ。白ワインも赤ワインも。フランスのワインを飲めないのよ。お昼時にコーラを飲みながら食事をするなんて、信じられないわよねぇ」と小気味よく毒づいた。



 お買い上げは3枚。ボサノヴァ2枚とハワイアンと1枚。
 楽しいひとときを過ごさせてもらった。
 へえそうなのかと思って、現フランス大統領夫人、カーラ・ブルーニサルコジの写真を探してみると、確かにビックリするほどに、サンディ・ショーとそっくりだった。



(大江田信)

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