Babalade E. Olamina ババレード・E・オラミナ / Come With Me

Hi-Fi-Record2011-01-28

カリフォルニアのユニークなラスタ系SSW。


このシンガーのことを
ハイファイのコメントはそう紹介している。


このレコードがはじめて入荷したときに
ぼくが書いたコメントだ。
レコーディングされた場所や
彼のいでたちなど
少ない情報を頼りに書いたもので、
今もそれ以上のことはあまりわかっていない。


自らレコードでプレイした楽器として、
バンジョー
ピアノ、
パーカッション、
ハーモニカ、
サックス、
エレクトリック・ギター、
ベース、
ヴォーカル
をクレジットしている。


大変な多芸だと思うが
それぞれにすごく秀でたマルチ・ミュージシャンというより
ストリートで大道芸的なパフォーマンスを
していたひとだったのかもしれないという気がする。


研ぎすまされた技芸の凄みというより
必要なものを必要に応じて身につけていったがゆえの
ごつごつとした
しかし愛すべき味わいがある。


レコードの一曲目に彼が選んでいるのが
1971年の映画「夢のチョコレート工場」で有名になった
「ピュア・イマジネーション」という曲。


今では
ティム・バートン監督でジョニー・デップが主演し
大ヒットしたリメイク版「チャーリーとチョコレート工場」の方が
はるかに有名になってしまったけれど、
音楽面では
リメイク版のダニー・エルフマン(彼も天才には違いないが)よりも
ミュージカル色の強いオリジナル版の
作詞作曲を担当したイギリス人名コンビ、
レスリー・ブリッカスとアンソニー・ニューリーに
個人的には大きく軍配を挙げたい。


主役のウィリー・ワンカを務めたジーン・ワイルダーの歌も
ウンパ・ルンパの歌も
素晴らしかった。


特撮面やセットなど
今のCG感覚ではずいぶんちゃちに思えるかもしれないが
逆に
人間の力で理想郷を作り出そうとした努力の跡が
見る者の気持ちを揺さぶる。


ピュアなイマジネーションだけでは生き抜けない。
それも現代の現実だろう。
でも
そうした不器用な理想主義を
懐かしいものだと言ってしまいたくない気持ちがぼくにはある。


このババレードさんの歌にも
そんな意志を感じる。


深読みに過ぎることは百も承知で言いたいのだ。
一曲目にこの歌が選ばれているその意図は
曲順をシャッフルしては決してわからないだろう、って。(松永良平